勇者は死して道を残す
今、目の前には宿敵であり戦うべき魔王がいる。
この相手に恨みはあまりない。俺が直接の被害をあまり受けていないからだろう
だが、
だが、コイツを放置できない。家族を、友を護るために
「情けない父を恨んでも良い、だが後を頼んだぞ」
そんな情けない言葉を子供と妻に残し、あいつの待つ場所へと向かった。
だから、
だから、
だから、コイツに傷痕を残さないといけない。
戦いになるように。才能のない俺じゃなく、最強なあいつに
「さて、魔王。おまえとも何年になったか。だが今日で最期だ!!!!」
そんな俺の言葉に相手は戸惑う。まるで親友が理解できないように。
ささいな誤解ではないかとでもいうかのように。
コイツは邪悪な存在ではない、が暇と人類の悪意はコイツに悪行を強いるに十分すぎた。だから俺は、俺が戦えなくなる前に止めてやらなければならない。
「シッ」ただ掛け声と共に駆け寄る、あいつの直ぐ近くにより、チートとして貰った強力な拳で殴り飛ばす。
が、当然のように障壁は展開され打撃の衝撃は霧散する。そう霧散するのだ、魔力を伴わない攻撃の一切を無効化する。そんな障壁を前に、どんな相手でも吹き飛ばせる程の剛力を貰った俺だけが立っているのはどんな皮肉だろう。
召喚された勇者は俺以外にも30人はいたと魔王は語っていた。が俺以外は簡単に壊れるか、興味もわかない存在だったそうだ。
俺はそんなコイツと殴り合いの友情のようなものがあったんだよ……、あったんだ。でももうコイツを止められないから。自分勝手に敵対すると決めた。平和だった15年の積み重ねを捨てて
「ハ八っわかってても酷い障壁だよ。魔力の才能0の俺じゃ何もできない。今日までは」
なんで見つけちまったのかと自問自答した。他の勇者にでも渡せば変わるんじゃとも思った。でも
俺は
俺は、男の子だから30も超えて言えるセリフじゃないけど。魔法、使いたいから
貰った力をしても、砕けることのない種を口に入れ飲み下す
その瞬間に自分の中にいままで存在しなかった流れを感じ無理やり制御する
魔力、生まれで限界がわかってしまうこの世界で絶望したもの
だからこそ
だからこそ
妄想だけなら負けはしない、可能性の実現を。
「龍の騎士にも、大魔導師にも俺はなれないからさ。拳をたった一撃の拳を通すのにすべてを賭ける!!」
魔力を爆発させ、自身の体力も限界までつぎ込んで業と成す。戦いは嫌いじゃなかったよ
「烈火穿孔拳!!!!」
妄想を現実に実現させる文字通りすべてを賭けて。その拳はきっとあいつを貫けたと信じて。
そして俺はあいつの肉体の感触を感じた時、死に絶えた
賭けは成功しただろうか?
主人公が死んだ!この人でなし!