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ロストテクノロジー  作者: 黒水 タル
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第1話 目と機会

「たすけて! たすけて!」


 何度も何度も心の中で叫び続けた。

 いや、もしかしたら口で叫んでいたのかもしれない。

 真っ暗で青い線が細かく時々赤い線が流れている。

 そんな中、俺は誰か見えない人に取り押さえられている。

 俺はどんなに足掻(あが)いても人の手を振りほどくことは出来ない。

 俺には何も見えない、黒、青、赤の色。そして、小さな緑の塊しか俺には見えない。

 俺は銃で撃たれた。

 多分麻酔銃(ますいじゅう)だろう。

 そのまま俺は眠った。



 目が覚めるとそこには女の人が俺の顔を覗いている。

 ポニーテールで茶髪。そして、小さな顔で幼馴染ではなかったら一目惚れするほどの美貌(びぼう)だ。


「おはよ!(いずみ)くん!」

 

 名前は杉尾 春菜(すぎお はるな)だ。

 一応声優である。

 ハルオという名前で活動している。

 苗字と名前の間の漢字2文字から取った名前で男っぽい名前だけど、か弱い女の子って程ではないけど、一応みんなからは守りたくなる愛らしさがあるらしい。

 一応幼馴染キャラである。


「おはよう」

 

 そして、俺は川辺 泉(かわべ いずみ)

 どこにでも居る平凡な高校生。と言いたいが、俺も変わったところもある。

 この目であったり。

 

 俺はあくびしながら時計を見ると8時半になっていた。

  あぁ、8時半か……、って8時半かよ!

  俺は驚いてすぐさま着替えを始めた。


「ってなんでお前起こしてくれないんだよ!」

「別にいいじゃん」

「良くないわ!」

 

 ニッコニコしているこいつはまったく、こいつは何を考えているのかが分からん。

 笑顔は可愛いのに、中身は小悪魔なやつだな。

 

 着替えが済むと俺は春菜を見た。

 制服の黒色によく似合う春菜はベットの上で足を組んで座っている。

 

 こいつ着替え中もここにいたんだよな。

 焦ったせいで全然気にしていなかった。


「お前よく着替え中男子の部屋におれたな」

「乙女がいるのに着替え始める人もすごいと思うよ」

「はいはいそうですか」


 俺はちょっと呆れながら、あの夢の事を思い出した。

 実際夢ではない、本当にあったことだ。

 絶対に見つけてやる。俺はそう思っている。

 実の父を絶対に見つける。


「春菜行くぞ、遅刻する」

「え? なんで?」


 なんだこいつ、学校行かないと遅刻するだろ。と思いつつ俺は電子カレンダーを見ると、

 5月28日(土)

 今日は土曜日、つまり学校は休み。

 どんどんと怒りがこみ上がってくる。


「お前、着替えてる時止めろよ!」

 

 背が小くて、学校の制服を来ている彼女は白くて細い綺麗な足をバタバタしながらお腹を抱えて笑っていた。

 これだから幼馴染は……。


「それで、お前は何しに俺の部屋に入ってきてんだ?」


 あ!っと思い出す春菜はポケットから時計みたいな物を取り出し俺に差し出してきた。


「これ直してよ」

「は? やだよ」


 こいつが持ってるのはただの時計ではない。

 持っているのはこの日本中の機械全てをいじることの出来る、『Operate the machine』略して『OTM』と言うらしい。要は証みたいなものだ。

 いかにも英語覚えたてホヤホヤの中学生が作ったような英語だなっといつも思う。

 こいつが持ってる物には、春菜の父、杉尾 支葵(すぎお しき)の物だ。

 ちゃんと名前も書いてある。


「お前そんなもん壊したんかよ」

「違うよ! 父さんが壊したんだよ!」

「はぁ? まぁ、あのお父さんの事だからなぁ有り得る」

「ね♪」

「いくらお父さんでもダメだろ」

 

 俺はため息しながら思う。

 春菜の父さんはすごく物を壊しやすいくせに、よくOTMの試験に合格したな。


「壊したからっていつも俺に頼むなよ!」

「えぇ、いいじゃん! 減るもんじゃないし〜」


 俺が舌打ちしながら取り、目にかけてある眼鏡(めがね)を取る。

 

 この眼鏡は寝てても勝手に取れないようになっているんだ。

 取った瞬間、目の前の全てが真っ黒に染まり、青い線、赤い線、白い線が出てきた。

 白い線は、電気の流れてない導線だ。なぜ、電気が流れてないものがあるのかがすごく気がかりだが、今はどうでもいい。

 赤い線は、導線が切れていたりすると、赤い線となる。

 青い線は正常だ。

 

 簡単な説明だがこんなもんだ。

 

 よく見て観察すると奥の方に赤い線が流れている。

 また導線を切っちゃったようだ。

 眼鏡をかけ春菜を見ると、ニッコニコの笑顔で言う。


「眼鏡取った時の泉くんがいちばん生き生きしてるね!」

「そういうのやめてくれ」


 この眼鏡はあまり外したくはない。

 俺の実の父親を思い出してしまうからだ。

 

 OTMの時計はちゃんと直しました。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

この作品は結構自信がある方です!

次回作も見ていただけるとありがたいです。

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