Ⅱ.大人の悪意
結構短めです。
竜が来る年まであと1ヶ月を切った。そんな時だった。
この町にふらりとやって来た、一人の少女がいた。そして、それはこの小さな町で世間話とともに知れ渡った。
それから数日後の事だった。今日も話し合いが行われていた。
「はあ。どうする···?もう1ヶ月を切った。そろそろどうするか決めないと···。」
「あの忌み子が女であれば···。」
「ソロモンか···それはもう終わった議題だ。今さらどうしようもない。」
「はあ···」
そして、もう後が無くなってきた大人達の話し合いは、ついに行き着く所まで行き着いてしまう。
「···なあ、もういっそ、あの子にすれば良いのでは?」
「あの子って···もしかして···。」
「そうか!それなら!」
「いや、良いのか?この町の子じゃないだろう?」
「大丈夫だ。あの石碑にはこの町の子供じゃなければならない、なんて事は書かれてない。それとも、他に案でもあるのか?」
「いや、そうじゃないが···。」
「それなら誰も文句は言わないだろ?皆さんも、それでどうですか?」
「そう···だな。それが良いんじゃないか。」
「もう、それしか無いだろ!」
「だな。」
「よし、それならどうやってあの子供を捕らえるか考えよう。逃げられでもしたら大変だ。」
「じゃあ───
こうして、大人達によって生まれた悪意は、たまたま町にやって来た少女に襲いかかる事になる。