夕月夜
「前に話してくれた、あの・・・・・・??」
冷静さを保とうとしながら聞き返す。
「そうだ。鈴は生まれ変わった時に記憶を失くしたんだろう」
少女は死ぬ間際、アイにこう言ったらしい。
生まれ変わったら、また会いましょうと。
「また出会えるまで長かった。嬉しかったよ、鈴が参拝に来てくれた時は。まさか願いが通じて会えるとは思っていなかった」
だから、自分に付いてきたのか・・・・・・。今まで不思議に思っていた全てに合点がいった。
「会えただけで、十分だったんだがな」
ふふっとアイがこちらを見て笑う。
「な、何よ・・・・・・それで、アイは私のことどう思ってるのっ」
告白したことを思い出して1人恥ずかしくなった。
ぎゅっと、アイは鈴を抱きしめる。
「言っただろう。何百年も前から、ずっと愛おしいと」
アイの胸の中で、鈴の目から涙が零れ落ちたー。
夜が更け、時計の針が天井をさしている。
鈴は風呂から上がり髪を乾かしていた。
いくらか経って、ドライヤーの音がぴたりと止まる。
鈴は寝室へ移動した。
ベッドに腰掛け電気を消すと、するりとアイが寄り添ってきた。
狐ではなく、人間の姿だった。
「いいの?夢の中じゃなくて」
鈴が尋ねると、
「ああ。これからは・・・・・・こうしよう。」
窓から零れる月明かりの下、2人は口づけをする。
アイが抱き寄せ、そのまま寄り添いながら鈴は眠りに落ちた。
その夜から、アイは夢の中ではなく鈴の枕元に姿を現すようになった。




