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射目立てて

神社が近づくにつれ、祭り囃子が聞こえてきた。

綺麗な夕暮れの中を、鈴とアイはゆったり並んで歩く。とても心地よく幸せな気持ちに包まれた。


ーと同時に、いつまでこうしていられるんだろうと、漠然とした不安が押し寄せてくる。


「・・・・・・どうした、鈴」


鈴は無意識のうちにアイの袖を掴んでいた。


「なんでもない」


アイは不思議そうな顔をする。



しばらく歩いて神社に着くと、たくさんの人で賑わい、様々な屋台が立ち並ぶ。



「わぁ・・・・・・」


目を輝かせてため息をつく鈴を、アイは優しい表情で見守っていた。



「アイは屋台はじめて?」


「毎年見ているが、こうして参加するのは初めてだ。ふむ、楽しそうだな」


きょろきょろと屋台を見渡し、指を指して言った。


「あれはなんだ」


「射的だよ。当たったら景品が貰えるの。やってみようか」



屋台のおじさんにお金を渡し、まず鈴が鉄砲を構える。


パーン!


「あー惜しい!やっぱり難しいね」


アイは不思議そうに鉄砲を触っている。


「えーとね、ここをこうして・・・・・・」


そう言いながらアイの手を触れた瞬間、思わずドキッとする。


「わかった」


狙いを定めるアイ。横顔が凛々しく、見とれてしまう。


パーン!


人形が一つ、転がった。

見事的中。


「やったぞ。ふふっ」


嬉しそうな表情で鈴の方に振り向く。


「すごーい!!」


鈴はぱちぱちと拍手をした。


「楽しいものだな。これ、いるか?」


「え・・・・・・!いいの?ありがとう!」


手のひらに転がってきたのは、白い狐の可愛い人形。アイからの初めて貰ったそれを、鈴は大事に握りしめた。


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