高照らす日
日差しが日に日に強くなり、汗ばむ陽気が続く。
エアコンの風を受けながら、気だるそうに鈴は言った。
「ー暑いね、アイ」
「我は暑さは感じないからな・・・・・・」
とアイは狐姿で涼しい顔をしている。
「あ、そうだ」
鈴は思い出した。
「今度ね、職場の人たちとみんなで海へ行くの。アイも来る?」
「海か・・・・・・良いな。付いて行こう」
意外にもアイは二つ返事だった。
果たして狐は、泳げるのだろうか。
「今日は仕事も休みだし、水着を買いに行こうかなっ」
鈴はぴょんと飛び起き、出かける支度を済ませる。
外に出ると、初夏の日差しが眩しい。日陰を選びながら歩いて行き、デパートに到着した。
シーズンとあって、売り場にはカラフルな色とりどりの水着が並ぶ。
「どれにしようかな・・・・・・あんまり派手じゃないのがいいかな」
白いフリルの水着を試着室へ持っていく。
着替えた鈴は、試着室を出てアイに訪ねる。
「・・・・・・どうかな?」
「着替えの時から見ていたが、似合っていると思うぞ」
「き、着替えの時から・・・・・・!?」
油断していた鈴の顔が赤くなる。
前は風呂場にアイがいても平気だったが、最近は変に意識してしまう。
鈴は水着と、帰りに売店でソフトクリームを買って帰ることにした。
周りには若いカップルが数組おり、仲睦まじく過ごしていた。
アイは鈴の肩に乗り、ソフトクリームを不思議そうにじっと眺めてから
「これは水菓子か」
と言いながら美味しそうにペロペロ舐めている。
ふふ、と鈴が笑うと、
「何だ?」
とアイが不思議そうに尋ねる。
「何でもない」
鈴はにっこり笑った。