表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/31

神風や

 

「京都以外にも、こういう鳥居あるんだ・・・・・・」


そう呟いた瞬間、

ざあっ!と鈴の右手の木が大きく揺さぶられた。


「きゃっ!」


そこには、色とりどりの羽を持った、大きな翼の鳳凰が現れ、フッと姿を消した。



「アイは、見える・・・・・・?そこの」


「なんだ?」


「大きな孔雀みたいな鳥が・・・・・・今は気配しかないけど」


「変なことを聞くな。見えたなら、居たんだろう。気配を感じるなら、まだこちらの様子を伺っているんじゃないか」


アイは当たり前のように言う。ひそひそ地面に向かって話す鈴に、すれ違う観光客が首をかしげる。



鈴は本堂に向かい、着くと賽銭を入れた。



「お賽銭は、確か投げちゃダメなんだよね。お金は大大事にしなきゃだから」



「その通りだ。だれだってお金を乱暴に投げられたら嫌だろう」



アイはふふんと答える。



ちょうど祈祷の時間だったらしく宮司が現れたので、手を合わせ、祈りを捧げた。


二礼二拍手一礼をし、せっかくなのでおみくじを引くことにする。



「おみくじを引くときは」


アイが得意げに話す。



「これについて教えてください、とか助言をくださいと唱えてから引くと良い結果が出る」



「えっ、そうなの」


鈴は唱えた。

「今の私にアドバイスを下さい」

引いたおみくじを見ると、小吉。


「唱えたのに・・・・・・!小吉じゃないっ」

鈴が文句を言うと



「おみくじはな、単なる運試しではない。そこにあるメッセージがお前の守護霊や神様からの助言なんだよ。唱えてからだと確実なアドバイスがもらえる」



おみくじを見て、鈴はハッとした。



ー気に病むのはやめなさい。良き出会いとともに今、時が解決してくれますー


「ホント・・・・・・だ・・・・・・」

鈴は胸がいっぱいになり、涙が溢れた。最近忘れるようにしていた心の奥の感情が、蓋をあけたように一気に溢れて心がきゅうっと締め付けられた。


傍でアイが優しく見守る。



「鈴、すぐそこに狐のいる鳥居があるだろう。そこをくぐると良い」



アイは近くにあるとても小さな鳥居を指差して言った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ