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序章 とうとう僕はここまで来た。
何もない、ただ白いだけの空間。僕は今そこにいる。目の前には何もいない、いないはずだけれど、そこに今、神さまというものが確かにいると確信できる。
僕は今、神さまの前に立っている。
《汝は選ばれた。》
《汝には資格がある。》
「言ったれや、トモちゃん。」
僕の唯一の友だちが背中を押してくれている。ありがとう、僕は前に進むよ。
神さまは気づいていない。だから、僕が神さまに教えてあげるんだ、それを。
「うん、言うよ。」
気を引き締める。一呼吸置く。そして、僕は覚悟を決めた。
「神さま、聞いてください。あなたの声がしてから、僕がここに立つまでにあったことを。僕の夢は、それなしでは語れません。」
言わないなんて選択肢はない。夢は、誰しも、心の中に持っている。




