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第十一回 転生者が変えた世界

 この度、「転生者徳河家康~人生詰んだ俺が、神君に転生したようです~(オリジナル全長版)」を完結させ、この世界の成り立ちにアンサーを幾つか出しました。


 ここからネタバレになるので、未読の方はご注意下さい。



 この「転生者徳河家康~人生詰んだ俺が、神君に転生したようです~(オリジナル全長版)」の主人公は、世良田という中年。歴史家ではあるが、フリーターで人生が詰んでいる状態の男です。

 この世良田は交通事故で死亡し、桶狭間前夜の家康に憑依(転生)します。

 世良田は史実ルート順守をモットーとしていましたが、数々の苦難を家臣と共に乗り越えるうちに、その宗旨を変更します。


 徳河家と江戸幕府を延命する手術を、関ヶ原の戦いを機に実施したのです。

 手術の目的は、〔明治維新の阻止〕と〔幕府による近代化〕への道筋。


 まず〔明治維新の阻止〕ですが、手っ取り早く言うと、薩長土肥の解体です。では、その解体をどう行ったかと言うと――


・毛利(長州藩):改易

・山内(土佐藩):東北へ転封

・鍋島(佐賀藩):龍造寺の家臣へ戻す

・島津(薩摩藩):討伐

※一部は海外に逃亡


 なお、島津無き薩摩大隅は加藤清正に預けました。難治の薩摩ですが、歴戦の清正には従いました。しかし、代替わりすると一揆や謀叛、菊池家(隈府藩)への離脱が相次ぎ、それが御家騒動に発展して、加藤家は改易されます。

※月京妖し語り(第四回 開かずの魔)参照

 その上で、幕府は薩摩を天領化します。その支配体制には旧島津家臣団を登用し、幕臣として遇する事で、不平不満を抑えます。また天領薩摩と、幕府軍が征服した琉球、そして福建との三角貿易(公式の密貿易w)で幕府財政を潤しました。

 この薩長土肥の解体、更に言えば薩摩潰しは、幕末を知る世良田の深謀であり、それを忠実に実施した秀忠によって為されました。



 次に〔幕府による近代化〕ですが、これは世良田が秀忠や後の将軍へに書き残す形で実施されます。作中には書ききれませんでしたが、幾つか紹介します。


・朝廷の力を弱める事

・令制国の改定(作中、実施済み)

・江戸への遷都

・田沼時代に開国

・幕藩体制を廃止

・何があっても朝廷に政治介入させるな

・諸藩の部屋積みを招集し、その者達を主体として幕府常備軍の創設


 徹底的に、朝廷を警戒していますね。それでも勤王運動は起こるのですから、歴史の修正力は半端ありませんね。



 なお、徳川が徳河なのは、作中から引用します。


「これより、儂は松平から徳川へと改姓いたす。つまり、これより徳川三河守家康じゃ!」

 俺は家臣団を前にして、その字が記された紙を掲げた。

 ドヤ顔である。決まった。そう思った。しかし、鳥居忠吉が、そっと手を挙げた。

「殿。徳川もよろしゅうございますが、これから更に飛躍する為に、〔川〕よりも大きな〔河〕とすべきでござる」

「え?」

「川を河となさりませ」

「いや、徳河って変だろう、常識的に考えて」

 すると、石川数正がおもむろに筆を取り、

〔徳河三河守家康〕

 と、書いた。

「殿、意外と悪くないですぞ」

「ふむ。川より大河の河の方が、雄大でいいな」

「忠次、お前まで言うか!」

 そう言うと、方々から賛成の声が聞こえてくる。

「殿は器が大きいですからな。徳河がよろしゅうござる」

「ちょ、作左!」

 俺は縋るように、仏高力こと高力清長に訊いた。こいつならば、俺の意を汲んで皆を納得させてくれる。

「私も徳河がよろしいかと。字面じづら的に」

「……」

 それから他の家臣も忠吉案に賛成し、それに気圧された俺は同意してしまった。

 徳河家康の誕生。



 です。

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