第一回 妖説徳河水滸伝とは何か?
僕は歴史が好きである。
特に江戸時代が好きなのであるが、歴史を調べるだけでなく、妄想をして一人楽しむ事がある。
もし、~~が~~をしていたら、江戸の泰平は揺るいでいたのだろうか?
例えば――
家光が、鄭成功に援軍を送っていたら?
宮将軍誘致が成功していたら?
元禄赤穂事件で、赤穂浪士が籠城抗戦をしていたら?
大塩平八郎の乱が、大乱に発展していたら?
加賀一向一揆のような一揆が起きていたら?
海外の勢力が侵略して来たら?
幕末期に、諸藩が土地を奪い合う割拠をしていたら?
このような妄想をしては、グヘヘヘと遊んでいたのであるが、それを形にしたい! オリジナルの江戸時代を作りたい! と思ったのが、僕の作品群〔本朝徳河水滸伝〕のスタートであり根本なのです。
では、〔本朝徳河水滸伝〕とは何であるか?
本朝とは、日本。我が国の事。
徳河とは、徳川及び幕府。すなわち江戸時代を示すのですが、「正史とは違う」という事を強調して、徳河と表記にしました。
最後に、水滸伝。
水滸伝が、何故ここに? と、多くの方が思うででしょう。急に、中国の古典が出てくるのですから無理もありません。ただ、この水滸伝というのが、今後のストーリー展開に多くな意味を示してくるのです。
その水滸伝のあらすじは以下の通り。
時代は北宋末期、汚職官吏や不正がはびこる世の中。様々な事情で世間からはじき出された百八人の好漢たちが、大小の戦いを経て梁山泊と呼ばれる自然の要塞に集結。彼らはやがて、悪徳官吏を打倒し、国を救うことを目指すようになる。
何となく、見えて来たものがあるのではないでしょうか?
現在僕が、〔本朝徳河水滸伝〕と銘打っている作品は、「狼の裔(峠雨・宝如寺の賊・蒼い月)」「天暗の星」「野望の男たち」「異・雨月」「死にぞこないの譜」「人斬り邂逅」「名人三無」「不敗剣 千手~黒鬼仏弥不敗剣」。この中から百八星に選ばれるキャラがいるかもしれないし、敵になるキャラもいるかもしれません。
つまり、今は〔本朝徳河水滸伝〕の本編を書く前段階、点を書いている状態なのです。いくつも描いた点が結び付き、いつか線となった時〔本朝徳河水滸伝〕の幕開きとなるのです。
ただ、その本編ありきで書いているわけでなく、短編として完成出来るものを意識しています。短編だけでも楽しめる、通して読むとより楽しめる、みたいな。
以上が、〔本朝徳河水滸伝〕の概要であるのだが、この作品群には一つ大きな約束があります。
それは、本編に、史実の人物を出さないという事。理由は、中途半端に史実を出しちゃうと、それに束縛されて自由な創作が出来ないからと、江戸時代を自分の想像力の限りを尽くして改変したいからです。作中には、神君やら太閤やら織田右府の名詞が出たりしますが、正式な姓名まで挙げてないのはその為で。
ん? 「人斬り邂逅」で沖田が出てたって? あれは、挑戦的作品で、「異・雨月」の外伝なのでお許し下さい(汗)
第一回目は、〔本朝徳河水滸伝〕の概略を説明しました。次回以降は、諸藩の説明や制度、キャラクターなど創作の種について話していこうと思います。