雲の上のぼうけん
ふわん。
ほわん。
ふわあ~ん。
気がついたら、ぼくはふわっふわでまっ白なところに落ちてきていた。
なにこれー?
すっごくきもちいい!
そこは、見わたすかぎり白いそのふわふわなものが浮かんでいるせかいだった。
そのまわりは青い空。
ということは、もしかしたらぼくがいるのはお空に浮かぶ雲の上?
それをたしかめようと、ぼくは、はしっこが切れている部分に近づいてみた。
そして、そこから下をながめてみた。
うわわわわ~~~!!!
それを見たぼくはびっくりぎょうてん!
下には家のお屋根が小さくなって、たーくさんならんでいたのだ。
ぼくのさんぽコースもずっとずっと下にあった。
ほんとにほんとに、これって雲の上なんだ!
ぼくはそれを知ると、なんだかとってもたのしくなってきた。
うそみたい。
ぼくは今、お空のずっと高いところにいるなんて。
ぼくはその雲の上を走り回ってみた。どこまでも続く白くてふわふわなせかい。
たのしいな。
うれしいな。
ひととおり走り回ったぼくは、今度はその白い雲の上でごろごろと転がってみた。そこはとってもふわふわしてやわらかくて、きもちがよかった。
そして、すっごくねごこちがよさそうだった。
そう思ったら、本当にねむたくなってきた。
ぼくはほんのうにまかせて体を丸めると、自分のまえあしに顔をのせて目をつむった。
ふわん。
ほわん。
ほわわわ~ん。
そうしてもう一度目をさますと、そこはおひさまの光がいっぱいの家の中。
ぼくはいつものお気に入りのラグの上で、丸まってねていたのだった。
「シロ。おいでー」
そう呼んでくるのは、ぼくの飼い主であるミキちゃん。
ぼくはソファに座っているミキちゃんのひざの上にとびのって、さっき見た雲の上のせかいのことをしゃべってみた。
「わんわんわん!」
「なーに? シロってば、なにかおしゃべりしてるみたい」
あのね! ぼく、さっき雲の上にいたんだよ!
すっごくふわふわで白くてきもちよかったんだよ!
「よしよし。わかったわかった! きっととってもいい夢を見たんだね」
ミキちゃんはそう言って、ぼくの頭をなでてくれた。
次はミキちゃんともいっしょに行きたいな。
あの白くてふわふわの、雲の上のせかいへ。
(おしまい)