茶番勇者の苦難。そして開かずの魔王城のドア
開かないドアの重要なヒント、きっと勇者はみんなに見下されてただろうな。
よし、ついに魔王の間の前まできた。
勇者シュウ(男)はいった。
「ついに魔王の間まで来たぞ。聖女エリを取り戻さなければ……」
聖女エリは魔王によってさらわれた。魔王によってさらわれたエリはいったいどんな目にあっているかは想像できない。
「エリ今助けるからな」
今思えば、ここまで長かった。
ゴブリンの軍団は魔法使いマイ(女)による大規模魔法で全員一発で倒した。マイは魔力切れたからバイバイとか言って帰っちゃった。
四天王の一人とか言ってたオーガの強そうな奴(何故か一人しかいなかったけど)は
「ここは任せて先に行け」
と言っていた、セルン(男)がいつになくやる気を出して、任せておいていった。
とまあこんな感じで五階建ての魔王城を一人、一階分ずつ足止めをして、聖女のいないパーティはついに勇者シュウ(男)一人になった。
「よし、じゃあ行くぞ。」
少し休憩したシュウは魔王の間の扉を開けようとする。
開けようとする……。
開けようとする……。
開けようとする……。
動かない。
「えっちょとまじ、なんで開かないの?」
魔王の間の扉は金属製で細長い棒のついた持ち手があるおそらく、オリハルコンなどの金属でできていて破壊できない。だから手で押したら簡単に開くようになっているのだろうと思っていたが開かない。
「えっ、ちょっと待って」
そこで、俺はよく考えた。今まで開かなかった理由。
そこで俺は思い出した。
前世の記憶を……
前世の記憶
「いらっしゃいませ!!」
やばい、やばい、やばい、やばい、 やばい、やばい、やばい、やばい、 やばい、やばい、やばい、やばい……。これはやばい。
俺はいまだかつてないピンチに立たされていた。
ここは、コンビニ!しかし、財布は持ってきていない。つまりここに来た用は一つもう少しで漏らす……。
俺はこれまでも、こういったピンチは何度も切り抜けてきたがここまでぎりぎりなのは生まれてこの方初めてであった。
もうすでにちょっと先走った、まあいわゆる滴?がパンツにつき、(決してOUTではない。OUTじゃないよね。OUTであってもまだ漏らしていないと言い張ってやる)膀胱は破裂寸前で尿は尿道まで来ているかのような圧迫感を醸し出している。
よし、トイレ前に来たこれで、ピンチから脱せる。
いやまだ落ち着くのは早い、あんまり焦ると次の一歩を踏み出したときに漏れちまう。
まずはノックをして
コンコン
返事はない。よしもう安心しても大丈夫。あと二歩持ってくれ。
ここにトイレがあってくれてありがとうそしてと、トイレの神様に感謝を述べながらトイレに入ろうとドアを押す。
が、
「ガチャっ」という音がなり
ドアは動かなかった。
トイレの神様は我を見捨てたのであった。
なぜだ。
なぜなんだ。
そう問いかけ俺は水たまりを作った……。
店員にかたずけを手伝ってもらったあと、扉が開かなかったと文句を言うと、店員はドアを横に引き開けてしまった。
これを思い出し勇者は5000ダメージを受けた。
「ぐほっ。これほど強烈な記憶を思い出さなければ魔王の間にたどり着けないのか。流石魔王恐るべし」
魔王の間を前にしてこれを思い出すとはきっと、この扉の前には呪いがかかっていたのだろう。
だが破ったぞ、このドアの攻略法が分かった。
「ふ、なんてことはない。これは押すではなく横にスライドさせて開ける仕組みだったのか」
こんなことに気づかないなんてエリを取られて自分でもわからないほど動揺していたらしい。魔王の間を前にしてこれを思い出すとはきっと、この扉の前には呪いがかかっていたのだろう。
しかし、その呪いは裏目に出たな。俺はこのドアがスライド式だと見破ったぞ。
そして俺はドアをスライドさせる。
が、開かない。
ドアはうんともすんとも言わず開かなかったのである。
そして勇者シュウはまたもやダメージを受けて膝をついた。
あまりに自信満々に開けようとしたのにあかなかったことに失望したのであろう。
そのころドアの向こうでは………
「勇者遅くねえですかい」
といかついおっさんがいい。
隣にいる少女は、
「アルバイト代払ってるんだから、もうちょっと待ちなさい!」
大声でたしなめる。
勇者が魔王を討伐するものから「勇者の魔王討伐」という行事を行うことになってもう百年が過ぎようとしていた。
これは永遠の国家機密である。
魔王は百年前に滅ぼされたが、魔王は殺しても魔族の暴動は治まらなかった。
魔族は何千体といてとても退治できるようなものではなく、暴動もかなり小規模なので見逃さざるを得なかった。
魔王一体なら何年か一度一組の勇者パーティを送るだけで済んでいたが、魔族を全滅させるとなると財政的にかなりつらくなる。こんなことをしても犠牲者増えるだけであり全く意味がない。それよりむしろ勇者パーティを送って魔王を倒しに行くふりをした方がいいのである。
というわけで、勇者が魔王を倒しに行くフリをして財源の支出を抑えてるのである。
「はあ、勇者に茶番ってばれないようにするのは大変だわ。」
魔王にさらわれる練習のリハーサルはもう何回もやってるし、これで終わりなんだけど……。
肝心の勇者が来ない、なんでこれないんだろう。
各階にいるパーティの仲間役の人からはみんなからOKの合図もらったし、そこから階段上がるだけなんだけど、休憩にしても長すぎる。見に行くにもここには魔王役アルバイトと私の二人だけ。魔王役のアルバイトに様子を見てきてもらうわけにもいかないし私が見に行くなんて設定上もってのほか。茶番だって説明しなきゃならない。
「一階のゴブリンの99パーセントは偽物で大規模な幻覚魔術を勇者にかけていて、すべて幻覚でした。すみません、オーガは着ぐるみですなんて言えるわけがないしね」
実は私、回復魔法一番簡単のしか使えなかったりする。簡単で擦り傷くらいしか治せなくても人材不足、借金まみれの王宮は採用するしかなかったりするのである。
勇者にネタバレしたとしてもあの勇者おしゃべりだから、絶対
なんか、茶番だったのに褒められるのってなんかくすぐったいな。
うわ、泣いてるよ。すっごく申し訳ねえ。いっちゃお
「すみません、実は魔王いなかったんです」
とかいって言って大変なことになるって決まってる。うわあ、頭が痛くなってきた。でもあともう少し待てば来るかもしれない。
五分後
十分後。
はあ来ない、来ない。
ってかよく考えたら階段上がるだけじゃねえか。
階段上がったらあとはドアが開いて茶番をやって帰るだけだっていうのに
もう、イライラする。
そして私にはある特殊なスキルっていうのかまあ特殊な能力がある。そして私はイライラすると鞭を持つ性格がある。
というわけで私はおもむろに鞭を取り出した。
途端にテンションが変わり人格が変わる何をしていようが鞭を持っている限り「女王様」の人格となるのだ。
「あなた、少し、お仕置きが必要みたいですね♥♥♥♥」
バチン、ペチン
あっーーーーーーー♡♡楽しい。
もっと早くもっと強く、もっとしなやかにリズムに乗って。
「70点」
「85点」
と自分の打った鞭に点数をつける、やっぱ鞭は楽しいこのなんも考えないで人を殴る感触がもうたまらない。
パチン、パチン、鞭の音が鳴り響く。
聖女エリは鞭を使うと性格が変わりそれ周りを巻き込むそしてそれに叩かれた人間は
「あひっ、あひっ、もっと♡もっと♡♡」
とどんな人間でもあえいでしまうのだ。今回は魔王役のアルバイトのいかついひげを生やしたやくざみたいなおっさんである。そしてそのおっさんが
「おう、おう、もっと♡強く、じらさないでえええ」
とあえいでしまっているのである。誰かが見たら必ず引くはずである。そもそもエリは……まあこれは言わないほうがいいであろう。
この惨劇は来るのが遅い勇者のせいであろう。
こうしている間勇者シュウはというと、ドアを全力で切り付けていた。
茶番なのだからもちろんこの剣は聖剣ではなくレプリカである。それもmade in choinaまあよく見ないと分らないところに書いてあるので召喚されてすぐの勇者にはわからないであろう。
「この、この、この」
もちろんこの屋敷自体は本物なので傷ひとつつかない。
「はあ、はあ、はあ」
意味がないと気づいたのであろう。勇者は諦めて座り込んだ。
そしてまた今度は押し始めた。
もちろん開かない。
「そうだ引けばいいんだ」
勇者はついに正解にたどり着いたように言った。
ドアを引いた。
結果:開かなかった
そして、勇者は思った、鍵がかかっているんだと、魔王がビビッて出てこないのだと。だから開かないのだと。
そこで勇者シュウは何かを考えるように思った後唐突に言った
「思いだした」
前世の記憶
「おい、逃げんなてめえ。」
怖い怖い!
今、シュウはヤンキーに絡まれ追いかけられていた。走って走って走り逃げていた。
あっ、トイレだ。
というわけでトイレに引きこもったのだ。
そしたらヤンキーはシュウのノートを読み始めた
「我こそが禁じられし右手の保持者、召喚に応じるべくは答えよ…」
そのノートはシュウが家でコツコツ書き記していたものあまりに力が大きすぎたため禁忌と設定されたという設定にしたものであった
そう勇者シュウはかつて中二病であったのである。
「うわーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ」
シュウは泣きながら外へ出てヤンキーにとりつき、ノートを奪い取り、つかみかかった。
そしてヤンキーはシュウになぜかノートを渡して笑顔で右手を差し出し言った。
「前世の俺は禁じられし翼を持つ堕天使であったぞ」
シュウは無言でその手を握り返し、そのヤンキーとは生涯を通して親友となった。
そしてここからシュウは考えた。どうすれば魔王が自ら開けてくれるか考えた。
シュウは考えた。
シュウは考えた。
シュウは考えた。
シュウは考えた。
シュウハカンガエタ。
筆者も考えた。
筆者はシュウより頭が悪かったためシュウに任せた。
シュウは頭が逝った。
自棄にになったシュウは叫んだ。
「アホ、馬鹿、すかポンたん!!」
ここで扉の向こう魔王の間側を見てみましょう。
「あh、あは、あはっはははっはははっひざまずきなさい。このうすのろが」
と、聖女が魔王役のアルバイト(すでに裸)に鞭を打ち付けている謎のお仕置きが完成していた。
聖女の能力で魔王役のアルバイトは快感を感じまくっていて、すでに廃人直前となっていた。
「女王様、あん、あん。そこは……」
魔王役のアルバイトのおっさんの声が響く。それに受け答えるは聖女のことば
「ひざまずきなさい!!このうすらデブが!!」
バチイン!!
「あ、うう!」
何か汚い白いものが見える気がするが(断じて男子の股間から出る例のものではありません。きっと口から出た泡ですよ泡それが股間についたんですよ。)、気にしないようにしよう。
魔王役のアルバイトは気絶した。
「ふう一仕事終わったわね」
聖女はそう言うと
「少し熱いわね。一枚脱ごうかしら。」
そして脱いだ先には上下ともに真っ黒のレースのある下着と張りのある肌そして6つに割れた腹筋と巨大でハリのある上腕二頭筋、そして一周一メートルを超しそうな太もも、そして汗で伸びた口紅、マスカラげおろええええええぇ。失礼。思わず脳内メモリに保存してしまったので、慌てて消去しました。
しかしながら見苦しい。見ていられません。
どうやら聖女の服には変身魔法がかかっていたようです。
「アホ、馬鹿、すかポンたん!!」
ああ、なんてかわいそうな子。勇者シュウのこの声はこんな時に限ってこの魔王の間に響いてしまったのです。これを聞いた聖女はもちろん。
「いいわね、反発分子を思いいいいいいいいいいいいいいいいッきりねじ伏せる感覚最高なのよね迎えに行かなくちゃ」
うへうへうへうえh
うわ、なんて気持ち悪い笑い方でしょう。
そして魔王が前に行くとひとりでに《・・・・・》ドアが開きます。
「ようこそ♥、私の城へ♥」
残念なことに聖女への扉は開かれシュウは聖女に頂かれたのでした。
以上、人知れず暗躍する今の魔王からお送りしました
開いていただきありがとうございました。
開かないドアの正体は自動ドアで開かなかった理由は身長が足りず、センサーに引っかからなかったせいでした。
私の描写力が低すぎてわからませんでしたよね。
読んでいただき本当にありがとうございました。
また何か書いた時よろしくですお願いします。