恋、一歩手前1
私は潮田綾芽、大学1年。今日は興味のない合コンに数あわせで来ている。……恋愛なんて興味を抱いたこともないし、恋愛をしたいとも思ったことがないから、初恋だって未だにまだしたことがない。
だから、今回も食に走るつもりだった。
合コンは当たり前だけど、初対面のメンバーばかりで自己紹介をしなければならない。その時、私は、
「私は潮田綾芽って言います。今日は数あわせでここにきました。
私は恋愛とか興味ありませんので、食に走ろうと思っています」
こう自己紹介をするのがお決まりだった。……今回もそう言ったけど。
それから私は、自分の自己紹介をしたことに満足し、あとは無言で食に走るのだけど……、今回だけは何故か違った。
「……初めまして。お酒奢ってくれると言うので人数あわせで来ました、夕波祐司って言います。潮田さんと同じく、食に走りますので、あとは皆さんで楽しんで下さい。一応、よろしくお願いします」
眼鏡をかけた、キリッとした目付きの男前よりの平凡の夕波さんはそう自己紹介を言った後、何を頼むのか決まっていたのか、呼び鈴を押していた。
店員は自己紹介の雰囲気なんてお構い無しに、「ご注文はいかがなさいますか?」と、営業スマイルを浮かべながらそう聞いた。
夕波さんは私の方を見て、お先にどうぞと言ったような顔をしていたので、お言葉に甘えさせて? 頂いて先に注文をした。
私が梅酒のソーダ割り以外に、食べ物で四品ほど頼んだ後、夕波さんは痩せの大食いでザルなのか、いきなり日本酒を頼んだ後、私の二倍の品を食べ物で頼んでいた。
恋愛を視野に入れないで考えれば、この人と気が合いそうだとそう思った。
……そう思っていたのは私だけじゃなかったと知るのは、もう少し後の話。