私の旦那様
私、ユーラ リンカは、アスカ ナノールと政略結婚しました。
結婚してから四ヶ月、旦那様の驚きの事実を知ったのです。
……旦那様は、若干の女性恐怖症だったのです。ある程度の距離を保てば平気と、旦那様がとても依存してらっしゃる(恋愛感情はお互いになく、友愛感情の意味合いの)親友様にお聞きしたのですが……、彼曰く、会話は慣れない状態では成立しないとおっしゃっていましたの。
あの、常に女性に囲まれながらも……にこやかに王子スマイルを浮かべてらっしゃる……旦那様が、若干の女性恐怖症。その言葉を聞いた瞬間、最初は自分の聴力を疑いましたわ。
でも、ですよ!? それなら避けられ続けていたのも筋が通るんです!
旦那様に嫌われていたと思っていたので……、安心致しました。
私のライバルは旦那様の親友様なのです、過ごしてきた時間は少ないのですが……、旦那様のことが好きなのは、親友様にでも負けない自信があります!
確かにこの結婚は政略結婚でしたよ。でも、初めて逢った時に私は一目惚れをしました。……親友様に向けていた、心を許したようなあの笑顔に……。
「なぁ、ナギサ?」
「なんでしょう?」
「燃えてるぞ、花嫁殿」
「そう見えるだけですよ、アスカ」
と、そんな会話をしているだなんて、考えごとをしている私に届くはずはなく、喋りかけることは出来なくても……関心を持っていてくれたこと知るのは、もう少し先の話になりそうです。
この話はまだ続きます。次回は“花嫁殿”視点ではなく、別視点で書きたいと思っています。よろしくお願いします。