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失恋から始まる恋模様【完結】

 外川くんに手を引かれ、連れていかされたのは、男女向け個性派ブランドショップだった。ブランドとは言え、学生でも少しお金を貯めたら買えると好評だとそう聞いたことがある。

 私はこれでも、友人には伝えていないけど……父は不動産と、家具のデザイナー業の社長だ。幼い頃から色々な建物の物件を見たり、色々な家具を見てきているけど……、ここまで人の目を惹くような店内は見たことがなかった。


「……ここで服を買いたいって思う気持ち、わかるような気がするなぁ〜」


 と、私は見惚れるあまり思わず、思っていることを言葉にしてしまった。

 そんな私の言葉に、外川くんは照れたように笑いながらこう言った。

「ありがとう。実はね、ここは俺の父が運営している会社なんだ。だから、この服を着てるのはモデルのバイト。

昨日ね、ちょうど模様替えをしたところなんだぁ。今回店内の家具の配置、初めて俺に任せてくれたんだ。桐沢さんにそう言ってもらえて嬉しいよ」

 その言葉に、私は目を見開き驚いた。直ぐに我に返ってこう言ったの。


「……凄い、凄いよっ! こんなに店内に目を惹かれたの、私初めて! それで思わず……ここで服を買いたいって思う気持ち、わかるような気がするなって言葉にしちゃったの!」

 と、そう言えば、外川くんはまたまた照れたような表情を見せた後……、

「……ありがとう」

 はにかんだような笑顔を見せて、外川くんはそう言っていて。

「こちらこそ、新一くんの時のこと……凄く助かっちゃった。ありがとう」

 と、私こそ助けられたんだって、そのことを伝えたくてそう言葉にした後、外川くんのはにかんだような笑顔に、つられるように私も微笑めば……、店の奥の方から厳しい口調で何かを言う声が聞こえてきた。

 どんどん怒鳴り声になってきて、若干日本語が片言だから……少しだけ聞き取りづらく、私は思わず放心していた。


「あっ、忘れてた……。モデル足りないから、緊急的にバイト探して来いって父さんに言われてたんだった」

 と、そう外川くんが言ったと同時に私は我に帰り、先ほどの厳しい口調の声の持ち主が姿を現せば……、こちらの方へと視線を向けてこう言った。


「モデル足りないから探して来いって言っただろ……って、その娘は優の友人? ……ああ、なるほどな。君、モデルとして優と一緒に撮ってみないか? むしろ、優のお嫁さんとして来てくれても良いんだぞ」

 と、外川くんのお父様がそう言葉にした時にはもう、冗談が言えるくらいに機嫌が直っていたようで良かったとそう考えていると、外川くんは「何を言ってるの!」と、頬を赤くしながら怒っていた。


 これ以上、外川くんが怒られる姿を見たくなかったから……、

「良いですよ、私は親友みたいに可愛くはないですが……お役にたてるなら」

 私はそう言う。そんな言葉に慌てる外川くんの姿を見て、可愛いと思った。


 でも、その時は知らなかった。……お嫁さんとして来てくれても良いんだぞ、そんな一言が本気だったなんて。……それを知るのは、もう少し先の話。



 とりあえず、「失恋から始まる恋模様」は完結となります。

 次の話は、異世界を舞台にした小説を書こうと考えています。よろしくお願いします!


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