失恋から始まる恋模様3
授業内容が全くと言っていいほど、頭に入って来なくて……。
私は早く授業が終わらないかと言う、気持ちでいっぱいだった。
いつもは時が過ぎるのを早く感じる授業の時間も、倍以上に長く感じた。
やっと授業が終わって、他の生徒達に紛れるように私は教室から出た。今日は幸い一コマしか授業を取っていない、このまま気づかれないように……新一くんから逃げてしまおうと、行動に移そうとしたと同時に誰かに手を掴まれた。
私は条件反射で、その手の持ち主の方向へと振り返れば、そこには……一番会いたくなかった新一くんの姿があった。
塾近くの路地裏に移動させられ、新一くんから驚きの話を聞かされた。
「久しぶりだな、圭織」
そんな社交的な挨拶に、私は新一くんと顔を合わさずにこう言った。
「……そうだね、十年振りくらいかな。新一くん、私の親友の桜と付き合っているんでしょう? 浮気と疑われるような行動しない方が良いんじゃない? 私、新一くんと幼馴染みだったこと、桜にはまだ言っていないもの」
挑発するように、強気で私はそう言葉にした。私が新一くんが初恋だったことをバレないように、営業スマイルのようなぎこちない笑顔を浮かべながら。
そんな私の表情なんて見えていない新一くんはでれでれとした、だらしない表情を浮かべながらこう言う。
「……まぁな、それについて話があんだよ。お前は知らないと思うけど、圭織と見合いすることになってるんだけどよ。……お前から断ってくれないか」
その新一くんの一言で、視界が歪んで見えた。恐らく、私は目に涙をためているのだろう。……ああ、運命とは残酷だ、と内心では冷静にそう考えながら。
「わかった」と、そう返事をしようとした瞬間に私の視界は手で塞がれた。
この手の温もりに、不思議と安心した、……誰の手かもわからないのに。