俺の幼馴染み1
この話、「俺の幼馴染み」は主人公が幼馴染みの恋を応援する話です。最初の方は友情中心となっております。
「なぁ、伊吹。恋とは何なんだろうな。壁ドン? されて女子はキュンってするらしいぞ。乙女心はやっぱりわからない」
俺は山城伊吹だ。
で、俺の部屋に入り浸り、図々しいことにベッドで横になりながら、自前の少女漫画やら乙女ゲームやらを持ち込んでいるこの幼馴染み、宮代弘人、俺と同じく中学一年である。
すまんな、弘人は少し天然なんだ。これでも女子の気持ちを理解しようと一生懸命努力してるんだよ。
まあ、とりあえず。天然な弘人を放っておけないからこう言っておく。
「お前は顔は悪くないからけど、ワンコみたいだからな。たまには真剣な表情を見せてみたらどうだ?」
と、そう言えば、弘人は俺の方へとにぱぁと笑顔を向け、こう言った。
「真剣な表情をして、壁ドンをすれば良いんだな!? そうか、なるほど!!」
そうそう。真剣な表情をして壁ドンする……じゃなくて!! 何で、何でも組み合わせようとするかな!?
と、考えながら睨み付ければ「ごめん、伊吹ぃ」と謝る弘人。
「とりあえず、弘人? お前は絶対に壁ドンするんじゃねーぞ、良いな?」
と、そう言えば、
「はーい、わかったー」
素直に返事をすればちゃんと守ってくれるからまだマシだと、そう考えながら乙女ゲームをし始めた幼馴染みを生温かい目で見守った後、俺は読まずにため込んでいた少年漫画を読み始めたのだった。




