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第八話

「それでは、試験の概要の説明に移らせていただきます」


 僕は今日試験に受けにきたんだし、いよいよ本番だね。

 これまでの鍛錬・学習の成果を最大限に発揮すれば、問題なく受かると信じたいけど、実際のところはどうなのかな?


「試験は、ある意味大華帝国に対する科挙と言う形になります。ただ、他の七帝国で実施されている科挙と比較すれば簡単なものですし、最初の級をどこから始めるのがふさわしいかを判定することに主眼が置かれますので、余り緊張しなくても大丈夫ですよ」


 そうなんだ。

 これで不合格になろうものなら、どうしようかと身構えちゃったよ。


「試験は再度受けることも出来ますが、冒険者組合員としてはやり直しになります。下手に受けてせっかく功績で上がっていた級よりも落ちてしまうこともあり得ますので、お気を付け下さい」


 ああ、不合格だったとしても再挑戦可能なのかあ。

 ちょっとはほっとしたよ。


「試験は、筆記と実技に分かれます。筆記は、常識や冒険で必要な知識に対する試験になります。科挙と同じように不正をした場合は受験資格永久停止及び、罰則を受けていただくことになりますので、ご注意ください」


 今までの実力が発揮できさえすれば、不正はしなくても大丈夫なはず。

 と言うより、不正をしたところで成績あげられる気がしないよ。


「実技は、魔法と戦闘に分かれます。魔法は、使えるかどうかを事前に申告していただき、使える方の実が受ける試験です。試験の内容はそのたびごとに違いますが、既定の的に魔法を当てて破壊すると言った試験は、基本毎回行われておりますね。それ以外にもいろいろありますので、試験官の方の説明を聞いてください。戦闘は、矢を射て何本的に当たるかを判定する。重い物を持ち上げる。試験官と組み手を行い、その実力を見る。と言ったことが行われます」


 矢かあ。

 弓矢は魔法で代用できるから、あんまり練習してないんだよね。

 魔法で矢を運搬するなどの補助をして当てるしかないかな?

 空中を飛ぶものの軌道を変えるとなると、ちょっと面倒だけど出来ないことじゃないし。


 魔法や組み手、重いものを持ち上げると言ったことは、普段やってきたことを実力通りに発揮すれば、何とかなるかな?


「試験概要はこういった形になります。特に質問がなければ、試験会場のある支部に転移の魔方陣にて移動いたします」


 試験を受ける人はいろいろな場所にいても、試験会場は一つで済ませるために、転移の魔方陣が用意されているんだね。

 場所を指定してもらえれば自力で行けないこともないと思うけど、会場の手続きを順調に行かせたいとも思うし、職員さんに案内してもらって一緒に行こうっと。



 試験会場にやってきた。

 筆記試験は、論語を元にした常識試験や、本当に必須と言えるような知識についての暗記を問うものだった。

 正直、簡単すぎたというのが本音かな。

 でも、勘違いして覚えているもの等もありそうだから、見直しをしっかり行っている。

 もっとも筆で書いているから、一度書いた答案を書きなおすとなると、汚くなっちゃうから困りどころだね。

 今度、文字を消して書きなおせる魔法の開発を目指してみようかな。


 実技は、魔法を使える旨を申告した。

 実際につけるか確認する試験と言うことで、説明にもあった既定の的に魔法を当てて破壊するということで、いちばん最高の技術ということで、無詠唱透明絵画構成で的そのものが粉々になって消滅する魔法を使ってみた。

 構成の無駄遣いな部分も結構あるけど、これだけの技術があると見せるためには、必要かなと思ったんだよね。


「あれ? おかしいね。なんで的が消えたんだ? 確かにそこに設置したはず」


「魔法で破壊するようにとのことでしたから消したんですけど、だめですか?」


「え? ああ無詠唱魔法使えるんですか。すみません。目に見えるように破壊してもらえませんか? どのように破壊したかを見る試験ですので、あんなふうに消されてしまうと判定できません」


 ううん、求められていたものと違う結果にしちゃったみたいだ。

 必要な魔法を必要なだけ使うのが重要なのに、技術を見せつけることを目指しちゃったんだから、確かに文句を言われても仕方ないや。


「じゃあ、やり直しますね」


 絵画構成が良く見えるように透明にするのをやめ、あえて呪文を唱えて構成を追加して十次元構成で、魔法も見えるように光の矢にして破壊力を見せつけるべく、派手な爆発を起こすも必要範囲以外には影響出ないように結界を張るというふうにして見た。

 これでわかりやすくなるから、採点もしてもらえるんじゃないかな?


「……絵画構成だと?? 結界まで同時に張って破壊するとは、これ本当に冒険者試験受けにくる必要あるのか?」


 何かよくわからないけど、試験官の人が呆然としてしまっている。

 僕のレベルが低過ぎて話にならなかったのかな?

 試験官の人が言っていることを聞く限り、もっと高いレベルじゃないと魔法使えるとは言えないということっぽいけど、その割には透明構成が見えにくいと言っていたのが、ちょっと不思議だよね。


 次の試験では、試験官の人がなぜか大勢になった。

 少しでもいいところを見つけてくれようとしているのかな?


 試験課題は、自分が使える一番すごい魔法を使うこと。

 となると、今回こそは、透明絵画構成で無詠唱にして、無から魔法生物を作り出す魔法を使おう。

 もっとも、この魔法じゃ疑似生物を作ることしかできず、効果が切れてしまえばすぐに消えてしまうようなものなんだけどね。

 それでも、僕の使える魔法じゃ一番すごい魔法だし、透明絵画構成を見せればただの絵画構成よりも評価高くなるんじゃないかな?


「ぴよ?」


 まあ、魔法生物と言っても、小鳥みたいな愛らしい生物に過ぎないからあんまり緊張感はないのかな?

 でも、効果時間の僅かな時間だけでも最大限にアピールすることを目指す。

 冒険者になれるかどうかは、ここが正念場だろうし。


 すぐに効果は終わってしまう。

 それでも何とか見てもらえたのかな?


 試験官の人達はそれなりに見てくれはしたようだけど、評価がどうなのかは気になるなあ。

 試験官の人同士で話あってはいるみたいだけど、距離があって声はわからない。

 こんなことなら、読唇術も勉強しておけばよかったなあ。


 戦闘の試験は受けなくて良いと言われた。

 苦手な矢を打たなくて良いと言われたのは助かったけど、既に不合格確定だから受けなくて良いという意味なのかなあ?

 不安だけど、試験が終わっちゃった以上は、結果が伝えられるのを待つしかないね。

 不安しかない状態で、転移の魔方陣を通って光の支部に戻った。

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