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第三話

 七歳になった。

 相変わらず僕にいろいろ教えてくれる先生には出会えないけど、宮廷を抜け出して、実際の植物や動物を見に行く等のことはできるようになった。

 一泊ぐらい外泊しても、何も言われない。


 それだけどうでもいい存在として監視されなくなっているというのも大きいんだけどね。

 二十番目ぐらいの兄ぐらいまでは、専門の侍従もいるけど、僕ら三十番目以降の兄弟には、空いている侍従が時々相手をしてくれる程度。

 衣食住が保障されているから、平民と比べればとっても幸せなんだろうけど、将来はいつ追い出されてもおかしくないという気がする。


 そんな状態でも、すぐ上の兄や下の兄弟は全然何もやろうとはしない。

 僕も誘いはしないけど、大丈夫なのかな?

 自分の名前もまともに字で書けないみたいだけど、大きくなったら困るんじゃないだろうか。

 他人のことを心配できるような余裕は、僕にもないけどさ。


 陽の特性を活かして、光の角度を調節して姿を消すことが出来るようになったことで、いろいろな場所に忍び込むことも出来るようになった。

 鍵開け・鍵閉じの魔法も身につけたから、鍵があっても大丈夫だし。


 流石に、警備が重要な場所は、魔封じの結界が張ってあるからそう簡単にはいりこむことはできないけれど、兵士が使う武器の保管庫程度なら入れるようになった。

 武器の実物を持ち出すことは出来なくとも、武器はどのようなものがあるのかを学ぶことはできるようになった。


 ゆくゆくは、複製魔法をしっかりしたものにして、武器庫の武器を元に魔法で作ってみたいものだね。

 今はまだ、姿を短時間写し取る程度のことしかできないけど、複製魔法は質感や威力を写し取ることも出来るみたいだし。

 かかっている魔法をそのままうつしとったり、効果時間を永続にすることも出来るみたいね。

 もっとも、そこに至るまでにはかなりの構成が必要なようだから、今の僕にはとても無理だけど。


 今のところは、修行に使う武器を作り出す程度のことはできるようにしたいね。


 今は、整理されていない武器庫を用途や種類重さごとに分類しておき直すことで、どういうものがあるのかというのを学んでいっている。

 将来は実際に使用してみたいけど、持ち出せばばれるだろうから、そこは諦めるしかないね。

 それでも、どういう武器が使いやすそうかなどを見るのは楽しいもんだよ。


 実学についても、いろいろ学んでいる。

 文官の執務室に行って、報告書を読ませてもらうなどして実際にはどんな感じに使うのかを確認させてもらうこともある。

 ただ、報告書の質がちょっと問題に思うことも多い。


 さっきまで書いてあることと結論が別だと言うのはまだいいとして、単純な計算ミスからとんでもない結論を導き出しているものもある。

 最初はそういうものなんだと思っていたけど、我慢できずに注釈を加えるようになった。

 僕が勝手にそんなことやったとばれたら問題になりそうだから、誰がやったかわからないように名前を書いたりはしないけど、放置しておくのは苦しすぎるもんね。

 第一、僕の一族が治める国なんだから、単純な間違いで苦しむ人が出るのは、見たくないよ。


 宮廷の外では、街で物の値段を調査・記録してみたりしている。

 全く同じに見えるものでも店によって値段が違ったり、値段が高いものの方が安いものよりも売れることがあるのは、なんでなのかなどを調べると、あっという間に時間が過ぎ去ったりする。

 日々の鍛錬を欠かすことはしないけど、ついつい集中してしまって、ご飯の時間に遅れてしまったりもするようになった。


 まあ、いなくても気にされないから問題にはなってないようだけど、おなかは減るから街の外に出て、食べられる野草や小動物を捕まえて食べるようになった。

 幸い魔法で、毒があるかの確認も出来るし、裁いて火を通す程度ならば、そこまで難しくもない。

 煙を立ててしまうと、人が見に来ることもあるようだから、結界を張ってから行うようにはしたけど、ちょっと不便だよね。

 必要に応じた魔法をいろいろ学ぶことで、飛躍的に多くの構成を組み立てることが出来るようになったのは大きいけどさ。


 魔法は使えればいいんじゃないよね。

 目的のためにどのような手段が必要で、その中でどういう魔法を使うかの選択も大事になる。

 その選択が出来るようにするためには、いかに都合のいい構成をもった魔法を使えるかというのが重要。

 すべてが連動していくから、必要に応じた魔法を必要なだけ使えないといけない。


 当然その中では、構成の省力化で無駄な力を使わないようにする配慮も必要になる。

 今は詠唱なしで魔法を使うのは難しいけど、音を出してはいけない場面も今後出てくるだろうから、そう言ったことも出来るようにならないとね。

 上達すると、構成を絵のように表示させて、構成を描くための構成なんてことも出来るようになるそうだ。

 それが出来れば、飛躍的に複雑なことも可能になるので、奥義とも言えることみたいね。


 今の僕にはそんなことは夢物語だけど、冒険者になるにはそれぐらい必要なんだろうね。

 まずは、詠唱なしで構成を組み立てて魔法を使えるようにしなきゃ。


  まだ先は長いけど、放り出されるまでに少しでも技術を身につけて、即戦力にならなくちゃ。

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