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第一話 オタクの事情

僕、桐谷 剛は、世間体でいうところのオタクに属している。

…というのも、ニュースなんて面白いと思わないし、

夕方時にあるアニメを見て、面白いなぁーって興味が湧いたから、

それで見ていただけなのだが。

カードゲームやら、ゲーム機やら、その類はほとんど妹からの

勧めでやったりしている。

というか、妹のがそういうのには詳しいわけで…。


と、まあここまで聞けばわかるだろう?

そう、僕はオタクという分類に属しておきながら、

その知識はと言うと、皆無と言ってもいいレベルだ。

そんな僕は、クラスの言わいる一般人グループからはオタクだから

という理由で会話に入れてもらえず、

オタクグループからは話にならないという事で下に見られ、

結局は一人でいる事に落ち着いたわけで…。


「さて…と」


と、僕はいつも持ち歩いている手帳を取り出す。

そこにはびっしりと文字が書かれている。

それを全て把握しているわけではなく、

僕はそれの書いた内容を覚えていない。


「さてさて…今日は誰をターゲットにしようかな」


僕の”日課”がこれだ。

絶対に覚えない事を自分のルールにして、人の一日を手帳に記す。

今までどれほどの人をこの手帳に書き記しただろうか。

…いや、それも覚えてないか。

それにしても、今日の天気は雲一つない晴れ日和。

ぽかぽかしててうたた寝しそうなぐらいに呑気で陽気で…。


「あぁ…うん、寝ようかな」


「なぁに寝ようとしてんだよ、授業始まるぞ~?」


「いいじゃないか…あと5分ぐらい…」


予鈴まであと5分。

少しの眠りを妨げてくるこいつは、折原 康作。

まあ…俺の悪友だ。


「そんで…僕の眠りを妨げて何がしたいんだよ…」


「いつも誰にも知られないように書いてるその手帳を隠そうとしてたから、気になって話かけた以上」


バレてーら。

さて・・・どうしたものか。

この手帳の存在を知られてはいないだろうと思っていたのにこれだ。

僕は物事を隠す天才だと思っていたのになぁ…


「この手帳には、一人一人の1日の行動を書いてあるだけだよ、それも校内限定」


「ほう?それを信じろと?いやいや、それは無理だって話だよな?校内限定ではなく、

校区内限定って吐いちまえって」


そこまで覚えていない。

適当に範囲を決めて書いてあるだけだし

そんな僕に対して、康作は


「あと2分だ」


「はいはい…とりあえず、そこまで覚えていない…そんでもって、

僕はそこまで熱心に記憶してる程お利口さんじゃないし、

さらに言えば、僕はかなりのひねくれ者だと思うぐらいだし、

関わるのも程々にしないと、他の人から変な目で見られても知らないよ?」


僕なりの気遣いであった。

皮肉といえば皮肉だが、この康作はかなりのイケメンだ。

ただ、人付き合いがあまり得意ではない。

例えば集団でいるのを好まないというのも一つだ。

そこからわかるとおり、この男は内気な性格ゆえ、友人もほとんどいない。

…おそらくは顔だけの評価で言えば、それなりに人気はあるのだろう。

言ってしまえば、顔面評価の格差社会の勝ち組なわけだ。

そんな男が僕と釣り合うか?否、釣り合わない。

ゆえに僕はこの男を自身から離さなくてはという使命感が生まれるわけだ。

ワーナンテヤサイーンデショー スゴイナースゴイナー


「スバラシイナー」


「何の話だよ」


「こっちのお話」


「あと、その件に関しては前にも言っただろう?俺はお前が心配なんだよ

数少ない友人でもあるから、関係を大切に…」


俺は、そこで口を挟んでしまった。

次の授業まで残り1分をここで切る。

時間とは残酷だな。うん


「おっとそこまでだ、康作の話はよーくわかった、わかったから、席へつこう

これは数少ない友人の助言だ」


「…もうこんな時間だったのか…ねる時間を奪って済まなかった」


まったくだ。

少し気分転換に、放課後は屋上で夕日でも見よう。

…そうしよう。



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