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Enemy-1 始まり

「寒いっ!!」


時刻は午後七時半、パーカーを着た黒髪の少年が街を歩いていた。


此処は日本の首都――東京都港区。秋の夜風に吹かれ、街は夜の顔を覗かせている。


「また、総理代わるのか」


夜景が美しい街中の一角にあるビルのスクリーンに映しだされた映像には、政権交代により新たな日本のトップが笑顔で支持者と共に万歳をしていた。


「その笑顔、いつまで保つかな?」


ここ数年、日本の内閣総理大臣は約一年単位でコロコロ入れ代わる。正直、海外からも冷ややかな目で見られる事が多い。


「もっと威厳を持って行動してくれ」

とは言うものの、自分には何も出来ない。国を動かす力など、何処にも。


ため息をこぼす少年。


「まぁ気にしてもしょうがないか」


少年はスクリーンから目を逸らすと、明るい街並みを後に歩きだした。


☆☆☆

とある高層マンションの一室。


すっかり夜も明け、小鳥のさえずりが一種の音楽のように思える。照りつける西日が眩しい。


「はぁ、今日が日曜日で助かったー」


そう呟いた少年の名は巽神 燐導、高校二年生。


平凡な顔、平凡な身長、平凡な学力、至って普通の高校生。


この少年、朝が苦手で学校にはいつもギリギリに登校している。

対策として、自分で用意しためざまし時計が二つほどあるのだが、最終タイマーが鳴り終わる前にギリギリで起きるようだ。


「早く起きて、顔洗ってきなさい。朝ご飯冷めるわよー」


「すぐ行くよー」


とりあえず布団を畳み、めざまし時計の電源を切って自分の部屋を出る。


「あ、お兄ちゃんおはよー」


そう階段を降りてきた兄を見て喋る少女。


巽神 心愛、高校一年生。


兄とは対象的に、整った顔、スタイル抜群で高校生の女子にしては身長が高い。(但し、燐導よりは低い。)


毎回のように燐導は思う。本当に自分と血の繋がった妹なのかと。周囲の人間からも、「似てない兄妹ね」

とよく言われる。


「おはよう、心愛。いつも早いな」


「お兄ちゃんが遅すぎるだけだよ。あたし友達と待ち合わせしてるから、もう行くね」


「ああ、行ってらっしゃい。気をつけてな」


うん。と元気良く一言言うと、心愛は玄関を開け小走りで街に向かった。


妹を見送った後、燐導は洗面所で顔を洗い、歯磨きを終え、居間で食事を始めた。


一通り食事を済ませると、居間に設置された大型テレビに目を向けた。映っている番組では大御所の司会者が絶妙なトークで出演者を始め、様々な人々を笑顔にしている。


何気なく、テレビを観ていた燐導に後ろから母親が声をかけた。


「燐導悪いけど、おつかい頼めるかしら。

お肉切らしていてね」


「わかった。いつもの店でいいんだよね」


そう言うと母からお金を貰い、二階の自分の部屋で服を着替えて身を整えると颯爽と街に繰りだした。

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