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第一話 まっさら 第二話 風鈴
まっさらな月はモナカにする。真ん中にはバニラアイス。チョコを一切れ挟み込むと、溶けないうちにそっと頬張る。ぱきり、ぱきり、モナカは割れて砕けて、香ばしい。上顎に残るモナカを、口に突っ込んできた小さなウサギたちが引き剥がす。泣いている個体もいるけれど、彼らが持ち帰った月はすぐに再生されるから大丈夫。
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風鈴がりんりん鳴いて夏を知らせる。早く起きて、目覚めて、早く、急いで。夜更けにも朝方にも鳴く。風を受けても、受けていなくても。身を翻して現れる次の季節。風のめぐる季節。来たよ、来たよ、だからいつまでも寝ていないで起きてきて。薄暗くて生ぬるい屋内、生まれてこなかったものたちが眠る場所。そこからそっと生まれ出てきて。
本文が200字未満のテキストがあるため、残念ながら、なろうに投稿するときはまとめないとできないようです。
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