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ゾウ神の甘美なる降臨

ティニカクヤセ隊のミッションは「美味しく食べて、楽しく痩せる」という矛盾を内包していた。隊長の茶団子丸とくりいむ子は、日々トレーニングを重ねながらも、美味しい食事には目がなかった。特に「マッキュ」と呼ばれる謎のスイーツ――香ばしいマカロンとふわふわシュークリームを組み合わせた禁断の一品――に目がない。



「痩せたい。でも、マッキュも食べたい……」くりいむ子が口元にマッキュを運びながら、切なげに呟いた。「まさに究極のジレンマだな。だが、こうして甘味を補給してこそ次のトレーニングに励める。」茶団子丸も慎重にマッキュを半分に割り、ゆっくりと味わった。

ティニカクヤセ隊は、常にこの矛盾に直面していた。食べることで得られる幸福と、それがもたらす精神的身体的負担。彼らはその間で揺れ動きながらも、「健康的な痩せ」を目指して鍛錬を続けていた。


ゾウ神、ついに降臨

そんな中、異変が起きた。訓練場のアラームがけたたましく鳴り響いたのだ。「緊急事態発生!緊急事態発生!ブランコピリー付近でエネルギー反応を検出!」司令部本部からの連絡に、茶団子丸とくりいむ子は即座に動き出した。

「まさか……昨日の異変が原因か?」茶団子丸が眉をひそめる。

「ええ、あの振動がトリガーになった可能性が高いわ…!」くりいむ子は拳を握りしめた。

二人が現場に急行すると、そこにはかつてない光景が広がっていた。巨大なゾウの姿をした神々しい存在――ゾウ神が、ブランコピリーの真上に出現していたのだ。


ゾウ神の甘美なる力

ゾウ神の周囲には甘い香りが漂い、その場にいる者たちの意識を侵食していく。ブランコピリーの客やスタッフたちは、みるみるうちに目を輝かせ、次々と料理を手に取り始めた。

「食べたくて仕方がない……!」「もっと食べたい……!」

人々はゾウ神の甘美なる力に取り憑かれ、次から次へと料理を口に運ぶ。その姿はまるで欲望の化身のようだった。

「これがゾウ神の力……!」茶団子丸は汗を拭いながら状況を見つめた。

「このままじゃ、私たちも取り込まれちゃう!」くりいむ子はゾウ神の放つ甘い誘惑に必死に抗いながら、叫んだ。



「戦いたくない。でも戦わなければならない。」茶団子丸は深く息を吐き、覚悟を決めた。

「くりいむ子、この矛盾を乗り越えるんだ。我々が食の力に抗いながら生きているように、ゾウ神にも勝てるはずだ。」



二人はゾウ神の周囲に広がる甘美な霧の中に飛び込もうとしたが、その甘い香りが体にまとわりつき、意識が遠のきそうになった。到底太刀打ちできない。


「一旦退却だ」


援軍を待つ。

ティニカクヤセ隊の2人にはその選択肢しかなかった。

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