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57話


【ポロロッカ】前世でインチキ宗教の教祖だった。神様を楽しませればその罪が償えるということで転生した。妄想癖が酷く、何かあればすぐに黙り込む。頭のネジが飛んでいるので喧嘩を売られれば必要以上に買ってしまう。


<好きなもの>:女性、食事、睡眠、金。<嫌いなもの>:面倒な事、辛い事。<怖いもの>:神。


特殊魔法「ネゴシエーション」:言葉や文字に力を持たせる魔法。


 


 ベッドから起きて分厚いカーテンを開けるとそこは曇り空だった。どちらかと言えば白に近い雲なのですぐに雨が降るという事は無さそうだが、少し湿度は感じる。


 体に痛みを感じてAKIRAのTシャツの袖をめくって見ると、腕に大きな青痣が増えていた。気が付いたらなぜか自然とそこに息を吹きかけてみたがこれで改善するはずもない。


 最近の私はもっぱら戦闘訓練に勤しんでいる。今でも時々は剣術の道場に通ってはいるがメインは素手での殴り合い。相手はSランク冒険者のクワバラだ。


 今となってはラッキーなことに、こいつには1億ゴールドの金を貸しているので、利子を取らない代わりに働いてもらっている。


 Sランク冒険者が訓練の相手になってくれるなんて、こんないい環境は滅多にないだろう。今の段階でもう借金は帳消しにしてやってもいいと思っているくらいだ。


 冒険者として最高ランクに格付けされるクワバラはその名に恥じない頑丈さ。尋常ではない身体強化で体を守っているお陰で、私がどれだけ殴りつけてもビクともしない。


 しかも時折の反撃もかなりの速度と威力なのでよけきれずに被弾してばかり。これは攻撃ばかりに意識が言ってしまって防御がおろそかになる私の欠点に気付かせてくれているのだろうと思う。


 毎回毎回限界まで稽古しているので魔力の消耗と疲労は尋常では無く、最近はお気に入りのお店に行くことも出来ずに、早寝の癖が付いてしまった。


 しかしそのお陰で最近は魔力のコントロールというものが少しは分かってきた気がする。クワバラは人を褒めるタイプではないので自分で勝手に思っているだけなのだけど。


 最初にクワバラと戦った時の自分は無計画に魔力を使いすぎていた。もう二度と魔力欠乏症でぶっ倒れるような惨事は起こしたくない。



 さて、今日はスイリンと一緒にスイリンが建設している建物を見に行くことになっている。今はまだ仮の状態だが、それでも形にはなったので見に来て欲しいらしい。もしこれで本当に建物として問題なく建てれるようなら、これはかなりすごいのではないだろうか。


 しかも作業を始めてからまだふた月とちょっとしか経っていないのでこれは相当に速いペースだと思う。平屋ならともかく5階建てだし、大工の助けを借りているにしても、スイリンにとっては魔法で建物を作るなんて初めての経験なのだから。


 最初は難しそうな事を言っていたのに、取り掛かってみればかなり順調に進んでいるらしく、今日は階段を作ったとか扉を付けたとか嬉しそうに報告してくる。


 スイリンならできるだろうと自信を持って任せたのだが、思った通りになった。ずっと一緒にいるから分かるのだが、スイリンという少年は料理だろうが洗濯だろうが勉強だろうが、教えれば何でも人並み以上に器用にこなすことが出来るのだ。


 作業中にマフィアが妨害しに来たことが何度もあるらしいのだけど、すべて追い払っていたら、現場で一緒に働く大工達からの信頼をかなり得ることが出来たらしい。どの世界でもケンカの強い男というのは一目も二目も置かれるものなのだ。


 そのお陰でもう仲良くなって、今では作業するのが楽しいとまで言っている。スイリンは賢いし、気が利くし、力もあるので、大工にとっても接しやすいのだろう。やはり未来というのは何が起こるか分からないものだ。


 今日はあれを着て行くことにしよう。


 私は積み上げられたTシャツの中から、植木鉢に植えられたコスモスみたいな花がプリントされたTシャツを選んだ。これはデザインが可愛いのと色遣いが綺麗なのが結構お気に入りなので、色違いがあったら是非買いたいと思っている。


 異世界のTシャツ集めはまだ続けていて、新しいのが増えていくのを見るたびにうれしい気持ちになる。この世界では異世界のTシャツは人気が無いようだから、もしかしたら私が一番の収集家かもしれない。


 服に興味のないスイリンは、服なんか何枚も買ってどうするんですか?みたいな顔をしているがそんなのは無視だ。好きなものを揃えるというのは男の本能だというのに、なぜあいつは理解できないのだろう。それがまったく分からない。


 そうしているうちに扉をノックする音が聞こえた。


 スイリンだ。


 さあ今日も朝食は何だろう。この宿は髭ずらの熊みたいなおっさんが調理担当なのだけど、ボリューム満点で濃い味付けなので私の好みなのだ。


 いちおう手櫛で髪をとかしてから扉を開けた。





最後まで読んでいただきありがとうございました。


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