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第2話〜革命的発案!〜


「だから思ったんだ、前線に行ってみればいいんだ!そうすれば全て解決する!」

「そうねそうしましょ」

「よし!じゃあ…」

「冗談よ馬鹿」

「……」


 お昼休憩の時に同期のヒーラーに提案してみると、予想外の反応が返ってきた。



「この場所がなんで前線からちょっと離れた所にあるのか分からない訳じゃないよね?」

「……」



 分かってるよ…

 ヒーラーは治癒魔法しか扱えない。そのため戦闘ができない。つまり自衛ができない。となるとその場で治療してもそのまま二人まとめてガブリって訳だ。



「けどここに運ばれてくる間に死んでしまう人もいる。そういう人も助けられるかも…しれない」

「あんたそう簡単に言うけどねぇ…」



 マリは反対らしい。それもそうか。

 さっきも言った通り前線に近づいたら戦闘能力がないヒーラーはそのままガブリ。でもそれは(マリみたいな)戦闘能力のないヒーラーの話。



「へぇ〜珍しくいい事言うのね」



 ドアに目を向けると、リリアンさんが私の話を聞いていたのか、もっと詳しく聞かせて?と向かいの席に座って来た。



「リリアン先輩患者はいいんですか?」

「うん、今落ち着いてるから。私もこの隙にお昼ご飯食べちゃおっかな」



 リリアンさんはこの話に興味を示してくれている。もしかしたら承諾してくれるかもしれない!



「攻撃魔法が使えるヒーラーを数人前線の近くへ派遣してそこで重傷者を治療する、というのをやってみたいんですが、リリアンさんはどう思いますか」

「ん〜成程ねぇ」

 


 リリアンさんは攻撃魔法が使えるヒーラーだったはず。確か……火炎属性だったか。



「ギアムは属性持ってるんだっけ」

「はい」

「えっ!?初耳なんだけど!?何々?!」

「風、と、ひか、り」

「へぇ〜2つ持ってたの。これまた珍しいのね」

「なんでカタコト?」



 リリアンさんは物珍しそうに私の顔を凝視するので、なんだが歯痒くなって自分の手を見つめる。


 普通、魔術師は(ヒーラーを除き)1人あたり1つ、属性を持っている。

 火、水、風、土、雷、氷、光、闇、があり、稀に幾つか属性を持っている魔術師がいたりする。

 そして治癒魔法だけ使えるヒーラー以外にも、属性を持っていながら治癒魔法を使える魔術師もそう多からずいるのだ。



「ふ〜んだからそんなに治療が速い訳だぁ」



 負けず嫌いのマリは納得!と相槌を打つ。


 光属性を持っている魔術師は例外なく治癒魔法を使えるが、治療の速さはスキルに関係してるんじゃないか?しかしまぁそんな事はどうでもいい。



「私とリリアンさん以外にも数人属性を持ってる人居ますよね」

「居るわね4人」

「じゃあ私達合わせて6人で最前線治療チーム組みましょうよ!」



 ここで働いているヒーラーは30人以上いる。だから6人抜けてもそこまで変わらないはずだ。

 いや変わるかもしれないがこの場所より前で治療するわけだから運ばれてくる数も減る。だからヒーラー1人あたりの仕事量はいつも通り何も変わらない、と、思う。多分。きっと。恐らく。


 リリアンさんは少し考えたあと



「私だけでは決められないから、他の子にも相談してみるわね」



 いつの間にか食べ終わっていた空のお皿を流しに置いて出ていってしまった。

 まぁ承諾してくれるだろう。

 治療する場所が違うだけだからな。


 マリと私もすぐにご飯を食べて仕事に戻った。


 


さっきの情緒が不安定だった魔術師さんの様子を見に行くと、別のヒーラーと何やら楽しそうにお喋りしている。平常心に戻ったよくだ。


 と思ったのも束の間、私がその人に近づいていくと丁度目が合い、さっきと同じ表情をされた。本当に心の底から嫌そうな目。


 しかしそれは仕方の無いこと。

 だって私の担当になったんだから私がここを出るまで面倒を見なくてはいけない。そういうルールだから仕方がない。ルールだから。


 この人とお喋りしていたヒーラーの横に行くと、そのヒーラーはハッと私に気づいて言った。



「あ、あの!ギアムさん!この患者さん私に担当譲ってくれませんか…?」



 …………成程。

 さっきお喋りしていたのはそういう事か。

 まぁ断る理由もないし。



「…分かりました。ではお願いします」



 仕事が1つ減ったと思っておこう。

 でもあのヒーラーはいいのだろうか。あの人もあの人で他に担当があるだろうに。

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