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86話 夏の終わり

「ほっ」


 麻衣は金魚すくいの水槽からポイで金魚をすくう。

 優奈達はあれから一週間ぶっ続けで遊び続け、本日が夏祭り最終日となっていた。


「流石に飽きたわね。散々遊んでおいて何だけど、屋台の遊びって単純なのばかりだから、すぐ飽きるのよね。まだ大和村の普通のお店の方が面白いわ」

「そっちは無料じゃないけどね」


 屋台遊びの合間に、店舗施設の方も少しだけ遊んだりしていた。

 店舗の方は専用に作られた空間なので、凝った遊びができることろが多く、麻衣達は存分に楽しむことが出来た。


「あれ面白かったよな。剣客遊び」


 真琴は景品で手に入れた木刀でポーズを取る。


 剣客遊びはサバゲーの日本武器バージョンである。

 バーチャルで斬り合いが出来るので、サバゲーと同じ感覚で皆楽しんでいた。


 美咲が徐に真琴の前に立ち、同じように木刀を構える。

 すると、真琴も真面目に構え直した。


「いざ尋常に……勝負!」


 二人は激しくチャンバラごっこを始める。


 二人ともキレのある動きで、太刀遣いも一端の侍並みに上等である。

 これはバーチャルで遊んだ結果、身に就いた技術である。


 無駄に拘りの強い遊戯施設のせいで、女の子達はどんどん戦士へと育成されてしまっていた。



「今日で最終日なのよね。飽きるくらい遊んだけど、終わると思うと名残惜しいわ」


 次の夏祭りは一年後。

 各屋台での出し物は、その気になれば自作したり商店街で集められたりするが、雰囲気込みで楽しむことが出来るのは夏祭りの間だけだった。


 名残惜しむ麻衣に、智香が言う。


「最後だからお酒飲んでいい?」

「……全然懲りてないわね。次やらかしたら放置するわよ。そんで、皆に変人と思われればいいわ」


 突き放されると智香はショボンとする。


「智香は燥ぎたいだけでしょ」

「そんなことないよ? スッキリはするけど」

「スッキリって気分が? この町でストレス溜まることなんてある?」

「あるよ。ゲームで思うようにいかなかった時とかに」

「……智香はゲーム禁止にした方がいいんじゃないかしら」

「それだけは許してっ。私の生甲斐なの」


 智香は懇願するように麻衣に縋りつく。


「ある意味、一番の問題児だわ……」

「そういうところも可愛いんだよ」


 優奈達の間では、智香のイメージはダメ人間で通ってしまっていた。



「ところで夏祭りって何時までだっけ? 今日一杯?」

「十一時までだよ。以降は片付け。強制退場じゃないから、片付けの様子を見るのもいいかもね」


 そこでチャンバラを終えた真琴が話に入って来る。


「祭りが終わって、余った食べ物ってどうなるんだ?」

「回収して再利用だよ。機械にかければ、加工前の食物専用細胞に戻せるから」


 廃棄食材の再利用というと汚いイメージだが、町の技術なら完全に元の状態に戻すことが出来た。


「ま、そうなるか。元々タダだしな。前住んでたとこのお祭りは余ったの色々タダでもらってたんだ。でも、終わりがけに作られたやつってさ、羽虫がめっちゃ飛んでるところで作ったのだから、中にも大量に入ってんの。お好み焼きとか生地の中にまでみっちり入ってて、食えるところなかった」


 その話を聞いていた麻衣達は身体を振わせる。


「うぇ、気持ち悪いこと想像させないでよ」

「悪い悪い。ここは絶対に入らないもんな。あれは酷かったけど、普通でも一匹や二匹は入ってるもんだぞ」

「虫いなくて、ほんと良かったって、つくづく思うわ」


 麻衣の言葉は他の子達の総意でもあった。



 その時、大和村の夜空に花火が上がった。


「お、花火だー」


 次々と花火が上がり、夜空を彩る。


「壮大ね。これ、本物?」

「映像だけど野暮なことは聞きなさんな」


 天井までの距離や周りへの影響、コスト面の問題から、花火は映像での再現となった。

 しかし映像でも非常にリアルで、人間の目には本物と区別がつないレベルである。


「たまやー。……って、何で言うの?」

「さぁ? そこら辺のロボットにでも聞いて」

「これも知らないの? 優奈なら知っときなさいよ」

「理不尽!」

「ふふっ、理由は何にしても、これ言うと花火って感じがするわね」


 麻衣は息を吸い込み、口を開く。

 言おうとした直前、美咲が素早く口を挟んだ。


「金」

「たまやー……って、何くっつけてるのよ!」


 まんまと引っかかり、美咲と真琴が爆笑する。

 麻衣が怒って迫ると、二人は逃げ始めた。


 追いかけっこをする三人を余所に、優奈と智香は花火を眺めながら話す。


「夏もこれで終わりか……。あっという間だったね」

「学校行きたくない」

「分からなくもないけど、面白いこともあると思うよ。新しい子も来るみたいだし」

「どんな子が来るんだろ?」

「さてね。でも、きっといい子達だよ」


 夏休みが終わり、二学期と共に新しい子達がやって来る。

 下の子が多く入って来る為、町には大きな変化が訪れるであろう。


 優奈は夏の終わりの寂しさを感じながら、二学期への期待を膨らませていた。

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