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8話 性犯罪者の駆除

 ある神社の裏手。

 そこは建物や木々の陰となっていて日中でも薄暗く、日頃から人気が殆どないところであった。


 そんな場所に二人の人間がいた。

 一人は中学年程の女の子で、もう一人は何処にでもいそうな細身の中年男性である。

 女の子はズボンを大胆に下ろしてパンツを露出させており、中年男性はその姿をカメラで写真に収めていた。


 ただ撮るだけでは飽き足らずウエストや足口のゴムを引っ張り、中まで写真に撮られているが、女の子は気にする様子もなくされるがままとなっていた。


「ねー、お菓子いつくれるのー?」

「はぁはぁ、終わったらちゃんとあげるから」


 中年男性は何も知らない女の子をお菓子で釣って悪戯をしていた。


「じゃ、じゃあ今度はパンツ脱いでここに横になって。それが終わったらお菓子あげるから」

「うん」


 女の子が脱ぎ出すと、中年男性も自分のベルトをガチャガチャと外し始めた。


 だがその時、どこからともなくサイレンの音が鳴り響いてくる。

 中年男性はビクッとして動きを止める。


 サイレンの音はどんどん大きくなって行き、すぐ近くから聞こえるような大きさになったところで音量が一定となった。

 近くで鳴り続けるサイレン音に、中年男性は慌ててズボンを履き直しながら、その場から逃げ出す。


「あれ!? お菓子は?」


 突然逃げ出した中年男性に女の子が声を掛けるが、中年男性は振り向きもせず建物の向こうへと消えて行ってしまった。

 しかしその直後、中年男性が入って行った建物の陰から、カメラのフラッシュのような光が起こる。


 そして、その建物の陰から優奈が出て来た。


「性犯罪、多過ぎやしないか? 私が言えた義理じゃないけど、こんなご時世によくやるよ。まったく」


 優奈はぶつくさ呟きながら、女の子の下へと足を運ぶ。

 そこで横になっていた女の子を立たせ、ズボンとパンツを履かせる。


「知らない大人について言ったらダメって、学校で教わったでしょ? 気をつけなきゃ」

「お菓子くれるのは嘘だったの?」

「えっと……まぁ、嘘だったと思うよ」


 お菓子はくれたかもしれないが、止めなかったら、それどころではない被害を受けることになっていた。


 お菓子が貰えないと分かった女の子は、目に見えて落ち込む。


 その様子に慌てた優奈は、何かないかと自分の身体を探る。

 そこで昼食用にコンビニで買っていた固形栄養食を見つけた。


「代わりにこれあげる。……いらない?」


 優奈は女の子に固形栄養食の箱を差し出した。

 すると、それを見た女の子は表情を明るくさせる。


「クッキー? いるー!」


 女の子は喜んで固形栄養食を受け取った。



「ありがとう。美人のお姉ちゃん」


 笑顔で手を振って、女の子と別れる。

 女の子を見送ったところで、優奈も歩き始めた。


「中学年で今時あれだけ純粋な子も珍しいな。私的にはああいう子は大好きなんだけど、犯罪者にとってもいいカモなんだよね。しかし、ほんと多いなぁ。こんな駆け付けられる距離で起こるとは思わなかった」


 スパイカメラで性犯罪の監視及び駆除を始めたのだが、優奈が思っていた以上の件数が起こっていた。

 児童への性犯罪は、テレビニュースでも全く珍しいことではない。

 捕まるのは氷山の一角なので、その実態は毎日何十件も起こるくらい多かったのだ。


「あまりに多いから、これじゃあすぐに騒ぎになりそうだ。困ったな」


 広範囲監視モードで野外で起きたものは余すことなく感知し、駆除を行っていた為、毎日それだけの数の人間が、この世から消えていた。


 優奈がどうしたものかと考えていると、ステルスモードで傍に控えていたヴァルサが言う。


「日本における年間行方不明者数は約八万人です。その程度の失踪人数は誤差の範囲内でしょう。特に対象者の殆どは成人男性ですから、社会的な問題になる可能性は極めて低いと思われます」

「なら、いっか」


 日本では、日々様々な理由で多くの行方不明者が出ている。

 範囲が日本全体であるので、毎日何十人の人間が消えたとしても、全体の人数からしたら微々たるものであった。


 証拠も残さず、相手が分別のある成人男性の為、事件性があると判断されることもまずない。

 優奈自身も世間的には行方不明者扱いとなっていた。




 神社の表に出た優奈は、近くに設置されていたベンチに座る。


「さて、町の進捗はどうかな?」


 目の前にモニタを広げる。

 そこに映し出されたのは、絶賛開発中の町の様子であった。

 ライトに照らされた洞窟の中で、多くのロボットが忙しなく働いている。

 既にある程度の掘削は完了しており、早くも整地や建物の建造に取り掛かっていた。


「順調順調。この調子なら完成まですぐだね」


 それぞれのロボットが掘削、資源集め、建設などを平行作業で行っているので、凄まじいスピードで開発が進んでいた。


「で、問題は住民なんだけど」


 優奈がモニタを操作すると、住民候補の一覧が出る。

 全国に飛ばしていたスパイカメラの活動により、住民となり得る可能性のある女の子の情報が続々と集まっていた。


 しかし、これはあくまで候補である。

 優奈は女の子の意思を尊重する為に、移住するかどうかは自分で決めてもらうことにしていた。

 辛い環境であったとしても、本人がそこから離れたくなければ連れ出すことはできない。

 どんな子でも親や友達など、他人との繋がりは持っている。

 それらを全て捨ててでも、今の環境から離れたいと思わなければ、勧誘に乗ってくれることはないだろう。


「声を掛けて実際、何人の子が来てくれるか。最初は少人数から試験的にやっていくつもりだけど、最低限、町として成り立つくらいには来てほしいところ」


 なかなか厳しい条件である為、優奈はどれだけの子を集められるか分からなかった。


「とりあえず今は出来る限り沢山、候補者を探しておくとしよう。しっかし、副産物でお宝が手に入るのは嬉しい誤算だった。多過ぎて見る時間がないのが悲しいところだけど」


 情報収集の為、スパイカメラで女の子達の日常を監視していたので、必然的に着替えや入浴の様子も記録されることとなった。

 他にも性犯罪を探知した際の映像や参考資料収集の為に盗み取ったデータからも、普通ではお目にかかることのできないお宝を手に入れることができていた。


 少女の観察や盗撮は、優奈の根源的な趣味である。

 山のように多くのお宝映像が手に入り、優奈はご満悦であった。


「息抜きに、ちょっと見ちゃおうかな。うへへへ」


 優奈は興奮しながら、モニタで盗撮映像を見始める。


 しかし、そこに近付いてくる者がいた。


「君、ちょっといいかい?」


 突然、声を掛けられた優奈はビクッとして顔を上げる。

 そこに居たのは制服姿の警察官であった。


 警察官を認識した優奈は、驚きのあまり硬直する。


「驚かせちゃったかな。今は何をしてたんだい?」

「え、あ、いえ、ちょっとタイピングのイメージトレーニングを」


 優奈以外の人間からはヴァルサやモニタを見ることはできない。

 傍から見ると、優奈は何もない宙で手を動かしているようにしか見えなかった。


「ほー、なるほど。放課後に練習してるなんて偉いね」


 優奈は非常に居心地悪そうにしていた。

 後ろめたいことが山ほどあった為、どうにでも出来ると分かっていても、落ち着かなかったのである。


「声掛けさせてもらったのは、注意喚起して回ってるからなんだ。最近、ここら辺に不審者が現れてね。無断で写真を撮られたりする子がいるから気を付けてほしいんだ。君も怪しい人を見たことあるかい?」

「いえ、見てません……」

「もし見かけたら、すぐ逃げるように。じゃあ、それだけ言いたかっただけだから」


 そう言って警察官は、その場から立ち去って行った。



 警察官の見えなくなったところで、優奈は息を大きく吐く。


「あー、ビックリした。つーか、今の、私を追い回した警官じゃねーか!」


 先程の警察官は、優奈が公園で通報された時に追いかけて来た人物であった。


 優奈が視線を遠くに向けると、見覚えのある公園が見える。


「そっか、ここはあの公園の近くだったか。ということは、さっきの子も施設の子だったのかもしれない。やっぱり、いいな。ここの子は。施設への勧誘もありか……」


 優奈は児童養護施設の子への勧誘も考え始める。

 児童養護施設の子は親がいない為、移住を決断する為のハードルが一般家庭の子より低い。

 また、公園で見た施設の子達はパンチラも気にしない無邪気な子が多かった。

 そんな子が来てくれるのなら、優奈としては大歓迎であった。

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