02. 衝撃
ユキにフラれ、母親は捕まり、
何がどうなってるか分からない状況に
思わず意識を失ったレオ。
そこに待ち受けていた更なる現実とは…
暑い…とにかく暑い。
そうか、夏だから太陽が眩しいのか。
「レオ、スイカ食べる?美味しいよ」
お母さんが台所にいる。
「レオはスイカ大好きだもんねー」
お母さん、それは違うの。。
1回美味しかったって言ったら、
毎日それが出てくると飽きてくるものなんだよ。
「はい、どうぞ」
赤い汁が付いた包丁を持ったまま
目の前に赤いグチャっとしたモノが出された。
ん?
これは…心臓だ…
ドクドク、脈を打っている。
「ふふふ、私の心臓よ、お食べ」
無理だ、無理だ無理だ無理だ!!!
お母さん!?何があったの?!
ドクドクドクドク心臓が動き出している。
お母さん?
お母さん!!!!!
……
………………
『お母さん!!!!』
目の前は白い部屋に変わっていた。
透明なパックから少しづつ液が垂れている。
ここは…
『ようやく気づきましたか、
ここは病院ですよ、レオくん』
いかにも女の子にモテそうな
白衣でスラッとした男が立っている。
『私はフランクと申します。
君は貧血気味で倒れておりましたので、
緊急搬送されてきました。』
そうか、
俺は家の前で倒れて…
あれ、でも何がどうだったか思い出せない。
『君の友人のベルくんは
とても優しい男の子ですね。
泣きながら私のところに飛んできたんですよ。』
ベル…
俺の親友のような奴だ。
同じクローンであり、俺より頭がキレる。
超視覚を持っており、
大体1キロ先くらいまでは鮮明に見える。
多分、ベルの位置から俺が見えて
慌てて飛んできてくれたのだろう。
『あの、ベルは…』
『あぁ、ベルくんならすぐそこに居ますよ』
あ、居た。
普通に居た。
めちゃくちゃ隣でスヤスヤ寝ている。
視覚能力のせいで
寝ないと目が疲れるんだよね。
『お母さんのことは災難でしたね。
お父さんのことも大変だったと思います。』
ん?
父親のことは何も聞いていない。
『お父さんに何かあったんですか?』
『ご存知ないのですね。
交際が発覚したため、君のお母さんは連行、お父さんは処刑となりました。君のお父さんが脅迫して結婚させたと言い張っておりましてね。』
……え
なんだって?
父親が処刑?
『この国は残酷ですよね。
好きな人を好きになってはいけない。』
フランクは何か話しているが
それどころではない。
もう頼れる人が居ないのだ。
いっぱい話を聞いてくれた母親も
やりたいことを手伝ってくれた父親も
俺にはもう居ないのだ。
しかも、処刑って…
何故そこまでしなければいけないのだ。。
『そういえば
君に言わなければならない事があります。
君の親が今は居ない以上、
君自身で決めて貰わねばなりません。』
『なんでしょうか?』
『搬送された際、色々検査をするのですが…』
クローンの能力のことだろうか?
しかし、俺の能力は
検査で分かるものではない。
ただ体力が人よりあるだけだ。
病気や怪我も回復するのは早いのだ。
フランク医師の口が開く。
『君の中には心臓が2つありました。』
……2つ?
クローンもヒューンも心臓は1つ。
2つあるなどありえない。
『このままだと君の血流が持ちません。
どちらか1つは摘出した方が良いでしょう。
手術代などは国から出ます。
さぁ、その手術、どうしましょうか?』
……頭が混乱する。
災難だらけの不幸だらけの困惑だらけだ。
『よく分かりません。
詳しくお話頂けないでしょうか?』
『かしこまりました。』
フランク医師は俺の心臓について話し始めた。