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トゥー・ハーツ  作者: ホー・ノア
1/3

00. プロローグ


ロボットに心は無い。

どんなに作ろうとしても、

科学の力では作れないものである。


しかし、ある科学者が言った。


『心はプログラミングできる』


この状況下ではこう思いなさい。

その環境ではその行動をとりなさい。

葬式では涙を流しなさい。

周りが笑っている時は自分も笑いなさい。

そんな指示一つ一つを組み込むことで、

ロボットも心を持つことができる。


その科学者に反対した者もいる。


ロボットは無表情である。

金属で出来た顔の表情を

どうしたら流動性を持たせられるか。

プログラミング出来たとしても

表現する方法がないのである。


ロボット化が進む社会に

より溶け込むことができるモノを

作るのが、科学者たちの議論点でもあった。。


その科学者たちの中に

「ノーリ博士」と呼ばれる者がいた。

遺伝子研究の頂点とも言える男で、

無精髭に白髪の、薄汚い人であった。


ノーリ博士はこう言う。


『遺伝子操作で人間を作ることができる。

しかし、遺伝子通り作っても、性格は作れる訳ではない。少し強靭な身体と、プログラミングを混ぜれば、良いのではないか。人間を作れば、表情も出すことができる。』


科学者たちは賛成した。

人間の形をしたロボットのようなものだ。

早速、開発が進み、

男の『ゼロ』と、女の『ヌル』が誕生した。

二人に恋をプログラミングし、

初めての子供が出来た。

それを『レイ』と名付けた。

レイを実験体として、数多くの試験が行われた。

やがて、それは

クローン技術と呼ばれるようになり、

生殖機能を持つクローン人間は

次第に子孫を増やしていったのであった。


クローン人間の身体は

最初にプログラミングされていたせいで、

色々な能力を持つようになっていた。

嗅覚や視覚が人よりも優れていたり、

体力や筋力が二倍くらいあったり……


遺伝子操作からの遺伝子変化によって

生み出されたことからの影響である。


……

…………


時代は流れ、


今では原初のクローン技術により

生み出された民族をクローンと呼び、

昔から存在する心情豊かな人間を

ヒューンと呼ぶようになっていた。


この国を治めるサガ大統領は

クローンとヒューンの共存を認めている。

クローンは能力を活かし、

様々な仕事に貢献する者もいれば

その能力を悪用して

犯罪件数も増えている事実もある。


4年に1度開催される

スポーティフェスティバルでは

クローンの様々な能力がぶつかり、

ヒューンの観客の盛り上がりは

半端ないものになっていた。


このような共存を確立するために

この国にはある規則がある。それは

「ヒューンとクローンが交際してはいけない」

「交際はヒューン同士、クローン同士とする」

というものである。


この物語の主人公、

俺もそのクローンの一人である。

名前は『レオ』。モノ高校に通う2年生だ。

明るい赤髪が目に入る。

父親からお前はクローンだと宣言され、

「超体力」の能力を持っていると知った。


と言っても、便利なものではない。

なにせ成績表の約9割は勉強に関するものである。

つまり、俺のクローンの能力など、

使えるのは体育ぐらいなのだ。

それ以外に使えないせいで

学期末にはいつもゴミ箱にお世話になっている。


そんな俺には好きな人がいる。

『ユキ』という少し小さめな女の子である。

人とは関わらず、黙々と真剣な瞳を持つ彼女。

普段は無表情だが、

たまに見せる笑う顔がとても可愛いのだ。


「誰かを愛することは、

神様の顔を見れたようなもの」

と、フランスの政治家ユーゴーは言ったが、

本当に神様のように煌めいて見えるのである。



しかし、

俺には大事なことが一つだけ。

一つだけあった。



そう、

『ユキ』は‘‘ヒューン’’なのである。

クローンはヒューンを好きになってしまったのだ。


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