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月明かりの下で

「綺麗な月だな……。こんなに美しい月光に照らされて死ねるなんて、こいつらは幸運だな」

 

  男は夜空に輝く月を見上げながら呟いた。


  その足元には、先程まで男の生命を奪おうとしていた筈の魔物達が、無惨な肉塊となって転がっていた。知らぬ者がみれば叫び声をあげるような状況であるが、この男にとってこの光景は日常の一部に過ぎなかった。

 

  男は返り血ひとつない自身のスーツの内ポケットから、任務の完了を報告するべく通信装置を取り出し起動した。


「本部へ、こちらエージェントナンバー225。任務の完遂を報告する」


「エージェント225、任務ご苦労様です。お怪我や肉体の破損はありませんか?」


「特に問題はない。正直肩透かしを食らった気分だ。この程度の任務なら下級エージェント達でも十分だったと思うよ」


  男は自慢気には語らず、あくまでも冷静に判断したうえでオペレーターにそう伝えた。男がいつもと変わらず無愛想なのを確認すると、通信装置の向こうからクスッと小さな笑い声が漏れてきた。


「貴方の意見はごもっともですが、人手が足りない現状で効率よく任務を行うには中級エージェントにやっていただくのが一番ですから。そもそも下級エージェント達の質が下がっていると、貴方も言われてたじゃないですか」


  オペレーターは慣れた様子で、男の意見に対して反論する。自身の言葉を引き合いに出されては言い返すことが出来ないと判断したのか、男は素直に頷くのであった。


「では今から本部に帰還してもらいたいとこですが、ここで『悪いニュース』と『もっと悪いニュース』があります。どちらの悪いニュースから聞きたいですか?」


「(どっちも悪いニュースなのか……)」


  今から帰還する予定であった男に対して、まさかの(意地悪な)サプライズ。これには流石の男も心のなかでツッコミを入れざるを得ない。


「『帰還してもらいたいとこですが』ってことは、また追加の任務か……。あと何件片付ければいいんだ?」


「惜しい!半分正解です!追加の任務が発生したのは当たってますが、任務の数は1件のみです」


  半分当ててもらったのが嬉しいのか、少しテンションが上がったような声でオペレーターは続ける。


「実は先程、貴方の現在地から近いとこにある組織の中継地点付近に、敵性反応が確認されたと報告がありました。その敵性反応の発生源の対処が貴方への新たな任務です。――ちなみに今のが『悪いニュース』です!」


  追加の任務が1件だけということで少し安堵した男であったが、オペレーターの先程の言葉と最後の謎の間に嫌な予感を感じてしまう。


「……さっき言っていた、もう片方の『もっと悪いニュース』というのは?」


  聞きたくはないが、しかし任務を確実にこなすには聞いておかねばならんという思いで男は聞く。そんな彼に対して、オペレーターは申し訳なさそうに口を開く。


「実はその敵性反応というのが――――」


 詳細を語ろうとしたその瞬間、オペレーターの言葉を掻き消すような叫び声が夜空に響いた――――。

台詞やらなんやらを考えて、遅筆なのをどうにかしたい…。次回の更新はいつになるのやら(^o^;)

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