懺悔の意識がなければ浮かばれない
デロイドは急いで義母ユイナがいる神殿にむかう。目に付いた女官の腕をつかむ。
「デロイドがきたと母上を呼んでこい」
いきなり腕を捕まれ女官は悲鳴をあげる。
その声は神殿に響き渡る。
「何事です」
ゆったりとした神殿のローブをきた浮き世離れした白髪の老女がゆっくりと歩いてくる。
「神殿長様」
震えながら女官は助けをこう様に神殿長をみる。
デロイドの手をつかみ優しく女官の腕からはなす。小さくお行きなさいと女官にささやく。女官はありがとうございますとその場から立ち去る。
「デロイド様、何事です」
「母上からの依頼で茶を持ってきた。会わせてくれ」
膝をつき懇願する。
「お伝えしますがユイナ様は最後祈り入っており同性、親族以外とは会うことはできない決まりなっています」
「わかっている。私も母上の子供だ。会えるだろう」
神殿長に懇願する。
「ここで騒がれたら他の者の祈りの邪魔になります。持ってきたお茶を渡してください」
デロイドはお茶を神殿長に渡す。神殿長はお茶をうけとり神殿の奥に入っていく。
ユイナは神に祈りを捧げいた。息子のラマークを亡くてから一気に老け込み美しかった顔も深いしわができ髪の毛も白くなっていた。
「ユイナ様」
神殿長は後ろからユイナに声をかける。
「あの男がきたの」
息子のラマークを思いユイナの目に涙がたまる。
デロイドは前領主ハルーンが領主になる前に使用人との間に出来た子供で母親がすぐなくなった為に母親の愛情を知らずに育った。そこに領主となったハルーンにしかるべき一族から嫁を迎えいれる事となりそれがユイナだった。ユイナとハルーンの間に子供がなかなか出来ずデロイドは実子の様に育てられ、周りも後継ぎとしてデロイドを扱っていた。デロイドが10歳になった頃、ユイナに息子ラマークが生まれた。ラマークが育つにつれ周りはデロイドから離れていった。だがユイナだけはデロイドを優しく愛情を込めて育てた。ユイナはラマークには後継ぎとして厳しく、そして深い愛情を持って育てた。
それがいけなかった。デロイドは勘違いをしたのだった弟より私の方が愛されてるのだと。
セナータの父親からラマークがいなくなればすべてあなたの物になるのにと長年かけてささやかれ続けて寒気が続き食料不足になり流行り病がはやった頃、ふっと思いたっただけでラマークを流行り病に見せかけ殺害してしまった。
周りはデロイドが殺害した事がわかっていたが領主だったハルーンが黙認した為に周りも黙認した。
泣きながらユイナはハルーンに訴える。
「息子を殺したのはデロイドです」
「息子を亡して私は苦しい・・・あれも私の息子だ」
「あれは私の息子でありません。私の息子はラマーク一人です」
ユイナはハルーンに泣きながらすがりつくもハルーンはユイナの顔を見ずその場をさった。
ユイナはひとり残され明けない悲しみに崩れ落ちた。
領主が亡くなりデロイドが後を継ぐと神殿にこもり祈りの日々をおくっている。
神殿長からデロイドのお茶を受けとるとユイナはその包みごと祭壇の火の中に入れてしまう。
「あの男に私が会うはずがない。神殿長。伝言お願いします。お茶、ありがとう、息子に届けました。しきたりにつき会うことはできませんとあの男に伝えていただけないでしょうか?」
「かしこまりました」
神殿長はゆっくりと頭をさげその場から退出した。その足でそのまま、デロイドにユイナの言葉を伝える。
「なぜだ。なぜだ。なぜ、あってくださらない」
デロイドは激しくのたうち回る。
「お引きとりください。その答えが見つければお会いになってくれるかもしれません」
神殿長はデロイドに頭をさげ神殿の奥に入っていった。
デロイドは激しい気持ちのまま神殿から部屋にもどる。その途中で頭をさげたルクテがまっていた。
「デロイド様、ユイナにテルマの報告した者がいます」
ルクテが肩をすくませるぐらいに睨みながらデロイドは問う。
「誰だ」
もったいぶってルクテは話す。
「ヨウ国の姫です」
デロイドはルクテを払いのける。
「あの姫のせいで母上の印象が悪くなってしまったでわないか」
怒りを込めてユナがいる部屋にデロイドは向かう。




