深い罪
ジュンは走りながら神殿の奥にすすむ。
あれは何年前だったろう。ヨウ国から逃げる様にルセにきて昼間から酒を飲みふらふらしていると生きているはずのない鈴蘭姫が見えた。
やっと死ねたのかと思ったくらいだ。
「順項?」
「はいはい。順項ですよ」
鈴蘭姫は最後に見た頃よりぼろぼろで顔や見える所にも叩かれたあざがあった。
涙をぼろぼろ流し助けてとすがりついてきた。俺の方が助けて欲しい。この埋めらない虚無感を埋めてほしいよ。
はっきり言って鈴蘭姫などどうでもよかった。俺はデロイドがどういった人物か全く知らずに鈴蘭姫を助けて欲しいと簡単に頼んでしまった。
俺の罪
奥の扉をあける。
そこには鈴蘭姫がシェンランに本を読み聞かせいた。
「順項なに?ものものしい様子で」
「鈴蘭姫、助けて欲しい」
「鈴蘭は死んだの。ここでは真珠って呼んよんでよ」
「デロイドと今いる下働きのテルマを助けて欲しい」
「はぁ。なんで私が助けなきゃいけないの?デロイドのいつもの事じゃない」
「お前と同じ目にあっているんだぞ」
「あなたがそんな事言えるの?」
お前は弟のラマークの愛妾だったよな。
鈴蘭姫はいえ違います。ラマーク様は、私の事を妻だと言ってくれました。結婚が破談になっても私の事を愛してると言ってくれました。
どれだけラマークに愛されて必要されていたかを訴えた。比護してもらうために。
ラマーク様との間に子供もいます。
デロイドはわかったと一言もらす。
そして何も断りもなく衣服を脱がされる。
何をするんです。必死で鈴蘭姫は抵抗する。
デロイドは耳元でささやく、ヨウ国にお前の場合はないはずだ。貧しい暮らしに戻りたくないのだろ?
隙間風が通る部屋。綺麗な衣服も着れない暮らし。
その一瞬の考えがデロイドに抵抗する力を弱めた。
嫌、誰か助けて。
みんな落ちてしまえいいのよ。百合姫、そのテルマって女も。
「トゥーザ一族だ。テルマを助けると金や権力で動かないトゥーザ一族が手にはいるぞ」
鈴蘭姫は悩む。最近、ヨウ鋼鉄の収入も少なくなっているし、金で動くやつは金で別の所にいくわね。そんな事でトゥーザ一族が手に入るの安いわね。
「順項ちょっと待って」
順項でも入れない場所へ鈴蘭姫は入っていく。
しばらくすると一本の花と手紙を持ってでてきた。
「あの男は結局、義母様大好きなのよ。弟を殺してしまうくらいに」
鈴蘭姫の変わりに侍女に本を読んでもらっていたシェンランを呼ぶ。
「シェンラン、急いでお父様にわたしてほしいの。おばあ様からのお願いだから誰に言われてもに渡してね。お願いよ」
「はい」
母親のお願いにシェンランは嬉しそうにうなずく。
ゆっくりと鈴蘭姫はお願いねっとシェンランの背中をおす。小走りでシェンランは部屋をでていく。
「シェンラン様」
その後を侍女が追いかける。
誰もいなくなった部屋に鈴蘭姫とジュンがのこる。
「あなたは罪作りね」
鈴蘭姫は背伸びをジュンの後頭部を両手で押さえて下を向かせ口付けをする。
「深い罪ね。藍家のご子息様」
深藍 シェンラン
そして鈴蘭はジュンと深い口付けをする。




