人の不幸の上の幸福
姫様の仕事を終えてテルマはいつも仕事についた。テルマの仕事は領主一族の服飾の整理だ。洗われた物を元の場所にしまったり、いつでも着られるように埃をはらったり、古くなった物を主に聞いて処分するそんな仕事である。すごく忙しい職場ではない為、急な仕事で呼び出される事も多い。今日もそんな感じで呼ばれた。
下働きを取り締まっている使用人長が廊下をうろうろしながら待っていた。
「おぉ。テルマかぁ。お前に頼みたい事がある」
「なんでしょうか?」
使用人長から果実酒を受けとる。この果汁酒はヨウ国の寒い北部で取れる林檎果実でできた物でルセではほとんど手に入らない。
「デロイド様がその果実酒をどうしても飲みたいとおっしゃり給仕が困っているんだ届けてくれるか?」
「はい」
デロイドが無茶な事を命令するのも日常でテルマ快く返事をして給仕が待っている部屋まで急いでいく。
扉の前にいる警備兵に用件を伝えて扉を開けてもらう。
そこには誰もおらずテルマは困ってしまった。奥の部屋から声がするのでテルマは奥に進む事にした。
「誰かいませんか」
奥に進んで行くとデロイドとルクテか机を挟み長椅子に腰掛け話をしている。
どうしてこんな所まできてしまったのかしら。
デロイドとルクテと目があってしまった。
「申し訳ありません」
膝をつきながら謝罪をして、酒の入っている瓶をかかげる。ルクテが酒を受け取りテルマの手首をつかむ。
「何を」
テルマは状況を把握しきれずルクテがされる様にそのまま引っ張っられ長椅子にテルマがすわる。
テルマは小刻みに震えなが動けずにいた。
ハイン様、助けて。
ルクテはぽんぽんと肩を叩く。
「そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ。お祝いです」
ルクテは瓶を開けてグラスに酒をそそぎテルマの前におく。
「ハインと結婚するだろ。その祝いだ」
デロイドは祝う顔をしておらずテルマに酒を進める。
テルマは横に降って抵抗するだけだった。
「私の進める酒は飲めないのか」
デロイドは怒鳴り声をあげる。
まずは一杯飲みなさいとルクテはテルマにささやく。
一口だけテルマは口につける。グラスをおこうとするとデロイドはグラスをつかみテルマに飲めと睨む。
嫌々ながらテルマは飲みほす。
「味はどうだ?」
本来なら林檎果実酒はとても甘く酒が苦手な人でも飲める酒である。恐怖のあまりテルマは味を感じられずにいた。
テルマは首を横に降るばかりだった。
デロイドはもう一度注げとルクテに命令する。
「飲め」
命令する。
テルマは長椅子からおり床に額をつけて謝る。
「どうかお許しください」
しばらく沈黙が続く。
「わかった。顔上げろ」
デロイドは低い声で呟く。
許されたと思いテルマは顔をあげる。
ルクテに両手手首を捕まれ、鼻をつままれる。先程の果実酒とは比べ物にならないぐらい苦く強い酒がテルマの中に注ぎ込まれる。
ゴフッとテルマが吐き出すと両手を離される。
「お許しください。お許しください」
テルマはくらくらして力が入らずここから逃げようと床をかき懸命にもがく。
そのの姿を見てデロイドが下品な笑い声をあげる。
「わたしはこれで失礼します」
ルクテは部屋からでていった。
部屋の外で待ち構えていたミリィがルクテの近くによってくる。
「ミリィ、やっぱり君は最高だ。今日からデロイド様の相談役の一人だ」
ルクテはミリィを強く抱きしめる。ミリィはこの時、最高に幸せを感じた。




