ヤムさんは若い人がいい
その日の午後、文佑に勉強を教わっている時間に
訪問者が現れた。ジュンとテルマの婚約者でハインと名乗る人物だ。両手に芭果を大量に抱えやってきた。
「突然、申し訳ありません。妻、これから妻になるテルマから聞きました」
ニコッと笑う顔は歯だけ白浮いてみえた。
ルセ人は褐色だかこのハインは日に焼けてさらに褐色いろだった。
「本当に突然すぎますよ。順、ジュン殿はなぜ?」
場を読めない所が何となく弟に似てると文佑は思った。
「ハインが姫様に会いたいけど、会えないからなんとかして欲しいと頼まれたんだよ。ほら、俺がいった通りじゃないかもう少し様子伺って」
ユナは文佑を見ると文佑はうんとうなずく。
「ハイン様、大丈夫ですよ。どうしましょう。その大量の芭果食べられませんわ」
「そうですね。ヤム、テルマを呼んでみんなで食べますか」
ジュンが提案をする。
「いい庭を知っているので案内しますよ」
ルセに出てからこの部屋をユナはでた事なかったのにジュンに案内されて中庭に出てきた。色とりどりの花が植えられとおり、真ん中には噴水があり、風が吹くと気持ちよかった。中庭に奥には小さな建物があり祈り場所とされていた。
「ジュン様、出て来て大丈夫なのでしょうか?」
後ろから監視兵がついてきてはいるものの何も言われなかった。
「ここはデロイド様も手が出せない中庭なんです」
「なぜです?」
「ここはデロイド様の義理の母上様のユイナ様がいる神殿の庭ですからね。争いは禁止なんです。ここにくれば誰も文句は言えないですよ。姫様も外にでた方がいいでしょ」
「義理の母親」
文佑は疑問に思ってしまった。
大量の芭果を籠に入れてヤムとテルマを連れてハインは後からやってきて文佑の疑問に答える。
「デロイド様は昔よりユイナ様に育てられたんです」
悔しげなハインを見る。
「デロイドは弟でもあるユイナ様の一人息子のラマーク様を毒殺した噂があるんだよ」
文佑の耳元でヤムは答える。
「元側近のハイン様があんな顔するんだから本当かも知れないね」
テルマが優しくハインを撫でる。
「姫様に飲んで欲しくてルセ産のお茶ルセ茶を用意したんです」
テルマは東屋にユナを案内する。
ちゃっかりヤムは文佑の隣を陣取る。
「なんだ、ヤムつれないなぁ。俺が一番だっていってたのになぁ」
「ジュンさんもいいけどごめんなさい。やっぱり若い方がいいの」
ヤムは文佑の手を握りしめる。いつも落ち着いている文佑が顔を青ざめさせて首をふり嫌がる。
その場にいた全員が大笑いする。
デロイドの側近に呼ばれたミリィがちょうど通りかかる。テルマの楽しげな顔がみえた。
なんでテルマだけいい思いをするの?私と何が違うの?私と同じだったはず。
テルマを憎々しげに見るのだった。




