危うく、文佑はヤムの婿に
ユナの朝は早くテルマがくる前に寝具を整え、姫の身代わりをしているのが分かるといけないので目の辺りを中心に化粧をして、衣服を整え鏡台の前の椅子に座り待っている。
テルマは最初は驚いた。ルセで使えていた主は寝台の中でゆっくり寝て寝台を整え待っているなんてことはなかった。少しでも気に入らない事があればどんな優しいそうな主でも平気でほほに平手うちをされた。姫様は駄目な事があると止めていただけると助かるわと言葉で言うだけだった。ヨウ国人達がと言うより姫様個人が優しいのだと認識している。姫様以外で見たヨウ国人はルセ人を見下し、ルセの主と同じ様に、、、いや、使用人にさらにひどく棒でたたいたり足げりなどをする。だからやっぱりヨウ国人は嫌いである。
テルマはいつもの様に業務的に作業をおえた。
「これで失礼します」
と告げるといつもより早くそわそわした感じでヤムが入ってくる。
「ほら、姫さん早く」
テルマはヤムの態度にびっくりした。敬語ではなく日常に使っている言葉で他国の姫様といえ会話している事にそれを疑問に思う事もなく会話して姫様にも。
「えぇ。なんか緊張してしまいますわね」
ユナは棚の上に置いてあった紙で包まれた物をテルマにわたす。
「気に入ってもらえるといいのだけど、開けてみて」
なんの事だがわからずテルマは固まってしまった。
「開けてみて見なさいよ」
ヤムから肩を叩かれる。なにが起こったのかわからずテルマはとりあえず開けてみてみる事にした。
「結婚式用のヴェール」
テルマはヴェールだけ持ち上げ土下座のような格好する。
「こんな高価な物、いただけません」
「こまったわ。もらってくれないとヤムさんが欲しがってたからヤムさんに渡して、ヤムさんが結婚しなくてわならないわ」
「しかたないわね。旦那と別れて文佑様と結婚するしかないわね」
ヤムは文佑がいないが事をいい事言いたい放題である。
「それはとても困るわ。そうだ、テルマ。私は芭果が食べたいわ。買ってきてくださる。芭果と交換してもらえないかしら」
「そんな果物でいいんですか?」
芭果はルセ領地の西南にいけば一般家庭の庭にも植えてある手に入り安く、安価で売られている果物である。
「テルマ、知ってるかしら。ヨウ国では芭果は絹より高いのよ」
テルマはヴェールを強くつかむ。その刺繍に目を奪われる。
「姫様、このご恩は一生わすれません」
「泣かせる為に渡した訳でわないわ。笑ってくださる?」
テルマは泣きながら満面の笑みをみせた。
ユナとヤムは嬉しいそうにお互いの顔をみる。




