遠回しな約束
フェイの行動がおろおろと挙動不審になる。思いきった様にダン・カーに伝える。
「黒家の姫ではないと思います。黒家の姫は出入りしている行商人に恋をして行商人について家出をしたからですぅ」
赤い果実の様にフェイの顔は赤くなり、部屋は風通しもよく、涼しいのにフェイの体からは湯気がでていた。
「え?つまり、駆け落ち!」
ファンリーは文佑に口を押さえられる。
「おまえは黙っておけ」
ファンリーは黒家の姫の事はたいして興味がない為黙っておく事にした。
「では一体誰が黒家を動かしているか?」
「ダン・カー殿は黒家が動いている事はつかんでるんですね」
「金で黒家は派手動いてるからなんとなくですが、黒家の姫の事もあったからなおさらそう思っていたのです。文佑殿の態度から黒家が絡んで事には間違いなさそうですね。真珠姫が黒家の姫じゃなくてよかった。姫と黒の姫は仲がよろしいと聞いていましたから」
はいと文佑はうなずく。
「これで黒家を潰すのをこころおきなく手伝えます」
ダン・カーはにっこりと笑う。
兄上じゃなくても俺でもわかる。遠回しに黒家を潰せと言っているんだな。国内の事は国内で処理しろと手伝うって事はルセの事はなんとかする。って事だよな。もしうまくいかなかったら戦争になる。
「その時はよろしくお願いいたします」
文佑は軽く頭をさげる。
「真珠姫とは一体誰でしょう?」
「王族の者ではないですね。20年前の争いで今の王の以外は制裁をうけて現在の王族は姫と姫の弟君の王子だけですから」
「王族が関わってないなら真珠姫は急ぎ調べなくてもよいですね。堅苦しい話はこれまでにして食事にしましょう。ここの店の料理はぜひ食べてほしいのです。フェイ殿と黒家の姫の馴れ初め話をお願いいたします」
話を振られ油断していたフェイは目を丸くする。




