複雑になっていく気持ち
笑いあってるなか姫がユナに目をむける。それに気がついたファンリーがユナを紹介する。
「トグゥの町で働いていて見つけたユナです。背格好からいっても姫によく似てるのではないかと思うのです」
ファンリーはなんともいえない複雑な気持ちになった。身代わりの為に連れてきた。そうなんだけどもなんとなくそんな紹介が嫌だった。
「男の子?」
ユナに姫が問いかける。
ユナは髪に巻いてあった布をとりはずす。布から腰あたりまである黒い髪が流れでる。道中に玉鈴が手入れしてくれた為、髪はかなり綺麗に黒く光っていた。
「女です。でも、姫の身代わりできるかどうか。あまりに姫様が綺麗で、、、」
姫様を姫様って読んでもいいのかしら。ユナはとまどう。
そんな気持ちを察して気さくに姫はユナに返答する。
「フフ、ありがとう」
ユナにまぶしい笑顔をむける。
「この、玉鈴様の腕の見せ所よ!」
「玉鈴?」
「今の私の名前が玉鈴なのいい名前でしょ」
「うらやましいわ」
前の名前を捨てて家から逃げたのね。姫はチラリと文佑の顔をみる。できないとわかっていても連れて逃げて欲しかったと気持ちは残っているのね。
そんな気持ちも知らずに文佑はニコリと笑いかえす。
「男性達はでていって」
玉鈴がファンリーの背中を押す。
ファンリーは押されている為に首だけしか後ろに向けずその格好で玉鈴に話しかける。
「何でだ」
「ふふふ~。さっきいったでしょう玉鈴様の腕の見せ所だって」
玉鈴はファンリーを追い出す。
「宿屋の海猫亭でまってるからよろしく」
玉鈴はあえて誰とはいわなかった。
姫は小さく文佑にいってとつぶやく。
文佑はしぶしぶ、ファンリーの後に続いてでていく。
玉鈴は姫とユナを見比べ手をポキポキならすのだった。




