冷静さを失う事もある。
黒装束の二人はジリジリとファンリーとフェイの間合いを確認している。
「二人!もう一人は」
ファンリーはユナと玉鈴がいる馬車の方向を振り替える。
馬車の方から悲鳴が聞こえる。
キャー
馬車から剣を突きつけられたユナがぶるぶると震えながらゆっくりおりてくる。
「あはは。フェイあの時を思い出すな」
向かい合ってる黒装束の一人がフェイを焚き付ける。
「あの時?」
ファンリーはフェイの顔をみる。フェイは今まで見た事のない怒りの顔をしていた。
「かわいそうに、お前の妹はお前に必死に助けを読んでいたぞ」
フェイは頭の奥でお兄ちゃん、助けてと声が響いた。
「お前は家の外でバカみたいに必死に剣をもち守っていて、殺そうとする奴が真面目にこんにちはと正面からくるか?」
フェイの短剣を握る手が強くなる。
「お前の母親の方がえらいぞ。最後の息絶えるまで必死に妹を守りぬいたんだからな」
あははと黒装束の男は笑う。
うぁぁぁぁ
フェイは冷静さを失い攻撃をはじめる。攻撃が大きくぶる。黒装束の男は器用に避けていく。そこにファンリーと向かい合っていた一人が懐から鉄扇をだし、鉄扇をなげる。フェイはその鉄扇にあたり大きく飛ばされる。一瞬、気を失う。
10才になったばかりのフェイが爆風でとばされる。何が起こった起こっかわからずに燃える自宅をみる。爆風に飛ばされる前、かすかに聞こえた「熱いよぉ。お兄ちゃん助けて」が耳に残る。




