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ありがとう
ユナがお店の外にでると先程パンを盗んだ子供とさらに小さな女の子がいた。パンは小さな女の子が握っていた。
パンを盗んだ子供はユナをみて何度も頭を下げる。
ユナは子供に手のひらを開かせパンをのせる。子供は横にぶんぶんと首を横にふる。
「残り物だから、よかったら」
ユナの両手は子供の手をパンごと包む。子供は泣きそうな顔で顔でユナをみる。
ユナの後ろから影がみえ子供の頭に大きな手がぽんとのる。
「ボウズよかったな」
ユナが振り向くとその影はファンリーだった。
うぁあ、ああぁ。
子供は何かいいいたそうにうめく。
「そいつは言葉がわからない。たぶんお礼をいいたいんじゃねぇか」
いつの間にかファルークが壁に肩をつけてたっていた。
ファンリーはあったかい笑顔でそんな時は「ありがとう」って言うんだそ。
「あり、ありとー」
子供がはじめて覚えたあたたかい言葉だった。
「そうだ、ありがとうだ」
子供は大きなな声でユナに向かい。
「ありがとう!」
叫んだ。




