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忠告はほどほどに
「助けて頂きありがとうございます」
ユナは深々と頭を下げる。
ユナは今までの自分の環境を考えた。
パンひとつで泥棒なんてする人がいるんだ。ひもじい思いをしたけど盗みを働かなければいけない程に飢えたことはない。
ユナは心が沈み込んだ。
「いや。助けたってほどではない」
男はぽんぽんとユナの肩に軽くさわる。
ファンリーは無意識に睨んでしまった。
なんかユナになれなれしいな。
「つれを助けてくれてありがとう」
「いやいや、ヤカモズ人に優しいヨウ国人様」
言い方にトゲがあるな。
「お礼をさせていただいたい」
ファンリーは社交辞令の顔で対応した。
「いやいい。それじゃ。気を付けろよ」
表通りにその男は歩いていった。
「気を付けろよ」
しばらく歩くとふりかえり忠告する。
「ありがとう、わかった。気を付けるよ」
スタスタと歩いていった。ピタッとまりまた、ふりかえり。
「気を付けろよ」
「ああ、気を付けるよ!」
ファンリーは最後にはかなり大きな声で返答していた。
何度かこのやり取りをした後、姿が見えなくなった。




