何かが臭う
村の入り口でいるは落ち着かないとヤムはユナとファンリーを旦那の実家に案内した。
ヤムの旦那の実家がある村はマラン村と言い初代村長の名前がマランとなんの変哲もない一般的な村だった。ヤムの旦那はセズといい城の事務官をしているためヤムと旦那はルセで暮らしていた。事務仕事を離れれないセズの変わりに農作業を手伝いにヤムは頻繁にこの実家に帰っていた。自慢ではないがこの周辺の村よりで明るく小ぎれいで入りやすそうな村に二人はくるのではないかとヤムは睨んでいた。門番に私の知り合いがくるかもと毎日声をかけていた。
マラン村は村に入るとすぐ石の塀がありその塀を右に進むと一本の道があり村のその道にそって家がたてられていた。白で統一されたルセとは違い村の家々は日よけの赤い瓦屋根に壁は白い塗料で塗られていた。家々には石で積み上げられた塀が個々ににあるが戸は風通しがいいように開けっ放しにされていた。それだけでこの村の治安の良さがわかった。
3人で歩いていくとヤムは村人達は気軽に今日も天気がいいねと声をかけ挨拶をしていった。そして挨拶した村の人たちも笑ながら明日もきっとね~とこの村特有の返事の仕方でヤムに返していた。
ユナは驚いた。
同じ国でもユナのいた村とは大きく違った。ユナの村はもっと暗く家々は締め切っていた。あいさつも声をかけるのではなくおじきをするぐらいだった。
ヤムの旦那の実家は平屋でこの村の平均的な大きさの家だった。
家の門にはいるとヤムは一言いった。
「あんた達、臭うね」
ヤムはファンリーとユナスをスンスンと嗅ぐと顔しかめた。
「ちょっとまってな湯を用意するから」
臭うと言われてファンリーとユナは自分自身の体を嗅いだ。二人とも自分自身の臭いを感じなかったが肌が汚れている事に気が付いて二人して苦笑した。
ヤムはその様子をみてヤレヤレと湯を用意しにいった。
ヤムが湯が用意できた戻ってきた。
ファンリーは当然の様にユナと一緒に行こうとした。ヤムは汚いものをさわるようにつファンリーを掴んだ。
「一緒にいくつもりじゃないだろうね」
「え?」
当然一緒にいくつもりだったファンリーは呼び止めれれて驚いた。
「うちは湯部屋なんてないんだからここで待っていな」
ヤムはファンリーが一般的な庶民の生活を知っていそうもなくユナも苦労しただろうなぁと想像できた。
外で湯あみをしているのかユナとヤムの声が聞こえた。
肌の垢が落とされヤムが用意した服に着替えた湯上りのほほが赤らんだユナが迎えにきた。
ファンリーその姿を見て胸がきゅっと掴まれて抱きしめてたい衝動にかられたが後ろから鋭い目で睨んでくる気配に衝動を抑えた。
ファンリーに用意されたのはほぼ水といっていいぐらいのぬるいお湯だった。
「寒い!」
風が吹くと冷たく感じた。
ファンリーがヤムに豚と言った事の小さな復讐だった。
ヤムは二人に食事を用意して食事が終わり落ち着くとユナの前に布で包まれた荷物を置いた。ヤムはその荷物の布をほどいた。
ユナが見覚えがあるものばかりだった。
「これはユナの荷物だよ。もしユナが逃げる事ができたらユナに渡して欲しいと文佑さんに頼まれたんだ」
ユナが姫からもらったものだった。
「ありがとうございます」
ユナはヤムに深々と頭をさげた。
「頭を下げないでおくれよ。そもそもこんな事になったのは姫の身代わりになっていたユナに私がテルマを助けてほしいと願ってしまったからなんだから」
ヤムはユナの顔を上げる。
「あと文佑さんからユナが城からでられたなら危険のない範囲で逃がして欲しいとも頼まれた」
「兄上・・・」
あんなに冷たく言っていたのに俺たちの事、心配してくれてたんだ。
「あんたの事はほかっておけって言われてんだけどね」
「兄上!」
兄上は俺だけになんか冷たい。
「ユナの護衛で一緒ににがしてやるから安心おし」