何かがたりない
ユナとファンリーは表街道を避けてとりあえずヨウ国の近くの町トグゥへと向かった。
ファンリーはお金がなくても何とか生きて行けるもんだなっと感心した。
だが塩が欲しい!
そこらあたりに生えている葉っぱや根っこの様な芋、魚を食べて3日歩いているが食べても何か足りない気がしてならない。
煙が立ち上がり村が見えてきた。3日も歩いたのだから大丈夫だろうとファンリーは少し気が緩んでいた。
「ユナ、あそこに村がある。小銭ならあるから物を少し譲ってもらおう」
ユナは心配した。
ルセ人っぽいが少々汚れているが高価な衣装をみにまとっている私、どこからどう見てもヨウ国人にしか見えないリー様どうみても怪しすぎる。
私はこんな生活なれているけど・・・
ユナはファンリーに気づかれれない様にチラリと顔をみる。
ユナの目から見てもファンリーがかなり疲れているのが見て取れる。
物を譲ってもらうだけならとユナも少し気が緩んでしまっていた。
「そうですね。私が行ってきます。ヨウ国人のリー様より私の方が怪しまれずに譲ってもらえます」
え、それは危ないだろ。
「ダメだ」
ファンリーは即答した。
「でもリー様、二人でいって捕まるより一人がいって捕まったらもう一人が助ける方が安全だと思います。そしてリー様が村に行って捕まってしまったら助けに行きますが私が助け出すこと難しいと思います」
単純なファンリーはそれはそうかもしれないと納得してしまった。
ファンリーは村の声が届く木の影で待つことにした。
ファンリーと目を合わせにこりと微笑みユナは村に入っていった。
きゃぁとユナの悲鳴が聞こえた。
やっぱり俺が行けばよかった。
ファンリーはユナの悲鳴を聞くと一目散に村の中に入っていった。
ユナに抱き着いているふくよかな人物を力いっぱい引き剝がした。
「この豚がぁ」
相手は少し飛ばされて尻もちをついた。
「何するんだい」
「ヤムさん、大丈夫ですか」
ファンりーの方ではなく抱き着いていた相手にユナは向かった。
ファンリーはその行動にショックを受けて立ち尽くしていた。
そしてユナはヤムを支え起こした。
ヤムは怒りをあらわにして仁王立ちになる。
ファンリーはその気配にびっくりと震えた。そしていつの間にか正座をさせられていた。
「あぁぁん。こんな素敵な女性対していきなり豚とはなんだね」
ユナはファンリーに駆け寄った。
「ヤムさん、ごめんなさい。ヤムさんとほどんど一緒にいなかったからヤムさんの顔がわからなかったんだと思います」
ヤムはユナに近づくとユナの髪をはらい顔をあらわにした。
「やっぱり、姫様の偽物だったんだね」
「騙していてごめんなさい」
「いいんだよ」
ヤムはユナを抱きしめた。
「どうしてここにいるんですか?」
「ハインさんに頼んでめぼしい所に人を配置してもらったんだ。そしてここが一番可能性が高く、私の旦那の実家がある所だからね」