ユナの行方
正論でまくしたてるセナータが反論することができなかった事にデロイトは胸がすく思いだった。領主の嫁にするためにセナータ自身の父親がいままでどんな手段をつかってきたか知らないくせにラマークに嫁げなかった被害者ぶった顔で俺に正論を突き付けてくる。
あの顔。思い出しただけでも愉快だ。これであの女も離れられる。
デロイドは上機嫌でユナがいる自分の部屋に向かう。
膝枕もいいし、本を読んでもらうのもいいなぁ。
そうだ。両方ともしてもらえばいい。
スキップでもしそうな勢いで部屋にむかう。
デロイドがこの部屋から出る前にユナがいた部屋に喜び満ちた顔で入る。
「ひーめー」
返事がない。
「あれ?寝室か?」
奥にある寝室に向かう。
「姫?」
デロイドは嫌な感じが強くなった。少しづつ速足になりながら部屋という部屋をみてまわる。
「・・・いない」
ずかずかと歩き部屋の外にいた見張りの兵を怒りを込めて拳でなぐる。抵抗できない兵はそのまま床にとばされる。
「姫をどうした」
兵は殴られたほほに手を当てたまま恐怖におびえガタガタと震えだす。あまりの恐怖に兵は声を出せないでいる。「姫をどうした」と聞きながら兵を殴り続ける。兵が気絶すると反対にいた兵をギロリと睨む。
「ひぃ。姫はこの部屋からでていません」
「じゃあ、どうしていないんだ」
気絶した兵を投げ捨てるように床に離し、もう一人の胸ぐらを掴んだ。
「し、しりません」
殴るられると兵が目をつぶったとき使用人から話をききつけた侍従がかけつける。
デロイド様、デロイド様。おやめくださいとすがりつく。
拳の矛先が侍従に向かうと侍従は口をあけ「ファルーク様が…ファルーく様が」
「ファルークがどうした?」
「ファルーク様がしきりに使用人達に姫の事をきいてまわっていました」
返事もなく拳が下ろされると侍従はは安心した。そしてゆっくりとデロイドの顔をみると侍従はおそれおののいた。
デロイトの心に奥の方から怒りの感情がマグマの様に吹き出していた。
そのままの感情を引きずりデロイドはファルークの部屋に向かう。
その頃3人は息を殺して隠し通路を通りファルークの部屋にたどりついた。
安心から3人は大きく息を吸い込む。
「うまくいったな」
ファルークはドヤ顔を見せる。
その顔を見て苦笑しながら「あぁ」とファンリーは返事をする。
「ありがとうございます」
ユナが深々と頭をさげる。
ファルークは照れていいよ。いいよ。と手をふった。
「さあてどうしようかな~」
ファルークは緊張がほぐれて急にお腹がすいてきた。
扉の外の兵に声をかけて侍従を呼ぶ。
しばらくすると走ってきたのか息を切らした侍従がやってきた。
侍従は床に手をつき頭を床にこすりつけた。
「ファルーク様、申し訳ありません」
デロイトはファルーク部屋すぐそこまで来ていた。
ここまでこの話に読んでくれている人に本当に感謝です。
「ありがとうございます」