いつも通りでない事もある
デロイドが部屋からでていった後は使用人さえ出され広い部屋にユナは一人きりになった。
「逃げれないよね」
ユナはぽつんとつぶやく。
逃げれないか大きな窓をのぞき込む。窓下には見張り兵がいた。ドアの外にももちろん兵がいる部屋に一人になったとはいえユナ一人では抜け出すことができない。
誰もいなくなった部屋をゆっくりとユナ見渡す。見たことのない黄金に輝いた豪華な部屋。衣装、宝石等つまれても心が躍る事はなかった。リー様と旅をしていた時の方がよっぽど心が躍った。ユナは中央にある長椅子に座る暖かいのに寒く感じられた。そこに座っている事がいたたまれなくなり部屋の隅に膝をかかえて座った。
・・・あれ?
小さくぼそぼそと声が聞こえてくる。
声が聞こえる方に体を動かす。
壁に耳をあてると何やら声がきこえてくる。
「…あ、やめろってくすぐったいんだよ」
ファルーク様の声
聞いてはいけない声を聞いてしまったみたいだ。
「狭いんだから、、、いいだろ」
えええ、リー様???
ユナは顔を真っ赤にする。リー様とファルーク様が…。
驚いていると声が段々大きくなってきた。
「早くいけよ」
イライラするファンリーの声が聞こえる。
「そんなに早くはいけない」
焦るファルークの声もきこえる。
やめろー!
声を抑えたファルークの悲鳴がきこえる。
横にあった棚が移動してファルークが倒れこんできた。ファルークを足蹴りしたファンリーの姿が現れた。
「リー様?」
二度とみることがないと思ったファンリーの姿がユナの目にはいってきた。
「ユナ、待たせたな」
満面の笑みを浮かべたファンリーがそこにたっている。
幻?
そしてリーはぎゅっとユナを抱き寄せた。
「リー様」
ファンリーに抱きしめられた事により幻ではなくユナはこれが現実だと感じることができた。
「おい。抱き合ってる場合じゃないだろ」
ユナを男だと思っているファルークは恋人みたいな雰囲気に横を向く。
「少しぐらい別にいいだろ。はぁ~ん。お前、経験ないのか?」
ファルークをからかう。
「はぁ、誰が!」
ファルークは眉間にしわを寄せる。
「リー様は経験あるのですか?」
ユナは純真な目でファンリーを見る。
「え、あ え?」
リー様は経験あるよね、、、。
ユナは嫌だなっと気持ちと娼館に努めてたのに経験のけの字もない自分に落ち込んだ。
「お前、男ともそんなことあるのか」
ファルークはリーの今までの行動を思い出し鳥肌がった。
「ばかか、そんな訳あるか」
だよなとファルークは内心ほっとしていた。
そして3人とも何とも言えない雰囲気なった。
ファンリーは我に返り「早くいくぞ」と二人に声をかけた。
ファルークが先に行きユナを案内した。
案内された先には外壁と部屋の壁の隙間にユナが一人横になって入れる幅の通路があった。
部屋の中を確認してファンリーはファルークに言われた通りに内側から棚を戻した。
ファルークとファンリーでは狭いため体を横にして歩く、狭い為早くいくことができず3人はもくもくと進んだ。
ある程度までいきはぁ~と大きなため息をついてファルークは話始める。
「ユナン(ユナ)がこの部屋でよかったよ」
ファルークは使用人から姫の事を聞き出し、領主の部屋に連れていたと聞いた時は本気でもう助けるのは無理かと思った。その後に母と父が姫の事で話し合いをしていると聞いて逆にピンっとファルークは閃いた。
父上と母上の話は長い。二人とも意見が違うから堂々巡りだ。領主の部屋なら私の部屋からいける。
ファルークは部屋にいるファンリーに急いで説明して隠し通路にさそい今に至るのだった。
だが、ファルークの読みは外れた。何時もなら長い母と父の話合いも今日は短く終わったのだ。