一休み
ハインはテルマを連れ帰り、テルマ達がいた神殿の部屋は真珠妃ひとりになっていた。
長椅子に両足をのせてお茶を飲みながらうつろいでいた。
「主様」
「なぁに、イーアル。一仕事終えてやすんでるの」
イーアルは長椅子の近くの床に膝をつく。
真珠妃は黒い長いイーアルの髪を優しくさわる。
イーアルは懐から手紙をだす。その手紙を優雅に受けとる。
「あら、いい知らせかしら」
手紙を真珠妃は読み始める。読み進めていくと途中、真珠妃は驚きの顔みせる。
「姫が身代わり。やだ話がかわっちゃうじゃない」
手紙を読み進める。真珠妃はだんだんと険しい顔になってくる。
「娼館で売られていたユナという娘?ユナ?あの子」
ずっと探していたあの子なの?いないでていったって言っていたのに。結婚の解消にかなりの金額を渡したわ。もし、あの子を娼館に売ったなんて信じられない。
真珠妃は手紙を握り潰し足で踏みつける。
イーアルの髪の毛を真珠妃は少し強めにつかむ、そしてパラパラと髪の毛をはなす。
「ありがとう、あなたの兄上は素敵ね。私の宝物を見つけてくれたかもしれないわ」
声をあげて真珠妃は喜ぶ。
イーアルは頭をさげる。
「本当にあなたの兄上は素敵」
今度は耳元でイーアルに意味ありげにささやく。
イーアルは動悸が激しくなり胸あたりの衣服をつかむ。
「あなたの事は大好き。綺麗な場所をしってるのに自ら泥沼をいくのだから。きれいな所にいけるのにあえて汚い道を行くあなたがとても好きよ」
イーアルは崩れ落ちる。
「その手紙見つかると大変だから燃やしておいてね」
もしユナがあの子なら助けなきゃ。下女なんて助けるんじゃなかったわ。
真珠妃はイライラを隠ずにいた。
数分悩んだ後。ふっと思いついた。
悩む事ないじゃない、正しい正しいセナータを使えばいいんだわ。