見えない糸
「イーアル、ご苦労様」
イーアルは気絶しているテルマを大きな布に包み込み真珠妃の前につれてきた。
ここは真珠妃がいる妃の名前の由来となった。白い色の城の離れ。
「うふふ。早く来ないかな~。イーアル。テルマの体を拭いてその寝台にこれを着させて寝かせてくれる。お願いね~。」
真珠妃はその指示を出したあと椅子に座り下をみた。
そこにジュンからテルマの場所を聞いたハインが急いで部屋に入ってきた。
「テルマ!」
イーアルはハインにこちらですと案内する。
「イーアル、ごめん。巻き込んでしまった」
ハインは寝台で寝ているテルマの長い髪の毛に口をあてる。
デロイドからトゥーザ一族が引いた後何かしら報復はされると一族は慎重動いた。
くそっ もっと早くに辞めさせておくべきだった。
真珠妃が静かに涙を流しながらハインに近づく。
「テルマ、かわいそうにもう少しで私と同じ目に合う所でした」
横むきおいおいと真珠妃は泣きはしる。
ハインは自身のおろかさに険しい顔になり拳をにぎる。ラマーク様の思い人なら...わかりきった事なのに尻が軽い女だと侮蔑していた。
「真珠妃、申し訳ありません。誤解しておりました」
ハインは深々と真珠妃に頭を下げる。
「私はラマーク様を裏切った時にその命を天に返すべきでした。ですがシェンラン、そしてラマーク様との間の子供を守る為、恥を捨ててここまで生きてきました」
「ラマーク様との間に子供」
私はなんて愚かなのだろうか。
「私はこの恩とともに主君の子供を守る為に何でもいたします」
離れの城の外でジュンはたっていた。
俺はまた間違いを起こしたのではないかと。
ハインが見えない糸にからまれていく様にジュンには見えた。