流れるままに
巨大帝国ヤカモズ。多くの国を占領し、領地としてきた。
戦争や大きな争いは起こしていないが権力争い、数年にわたる寒波によってヤカモズ帝国は傾きかけている。領地を広げる戦争はしないのではなくできない状況にあった。
そしてこの国の混乱のさなか娼館に売られてくる女は多い、お金に困って自らくるもの、親に売られてくるもの、人さらいにあってくるもの、理由はさまざまだ。
ここにいる一人の女もその一人だ。名前はユナといい数日前にここにきたばかりだ。体全体に痣があり、すぐに客をとれず下働きとして数日を過ごしている。
「冷たい」
桶に手を入れると井戸の水はつめたく、洗濯をしている手はかじかむ。
昼過ぎにもなるなるのに洗濯は終わらず。休む暇もなく衣類を洗う。日が沈む前の娼館は静かで衣類を洗う音だけが響いている。
バンッ
裏口の音が勢いよくあけられる。
「まったく、日が沈む前にきてホント細かい客だよぉ」
女主人はおいと手招きをして、ユナを呼ぶ。
洗濯をしている手を止めその声の方をむく。
「主様なんでしょうか?」
「客だよ。客」
私?ユナは自分自身に指をむける。
「客?なんの?」
「お前、娼館の客と言えばなんの客かわかるだろう」
え。なに…。
頭が混乱していて主の声がまったく頭に入ってこない。
客を取るのは当分先で覚悟がまったくできていなかったのだ。
「洗濯物が終わってないです」
いきたくない。
「そんな物は後で他のもんがやるからほかっておきな」
洗濯を置きっぱなしで主に手を引かれいった。
湯けむりがたつ部屋につれていかれ、服をむかれ湯につかり下働きの服とは違う綺麗な服を着させられ、あれよあれよとゆう間に今まではいったことのない綺麗な部屋につれていかれた。
そこにいたのは鎧をつけたこの国ではめずらしい黒髪の20代前半の男が椅子にすわっていた。
今日のお前の旦那様だよ挨拶をしなと主は耳元で私に言う。
「旦那様、ユナでござます。どうぞよろしくお願いいたします」
「そうだ、この感じだ」
男は大きな声をだす。