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最愛の者との再会




 場所は、白を基調とした無駄のない凛とした空間。



 椅子もテーブルも謎のつるつるとした発光する材質でできている。



 ほこらというと古臭いイメージがあるが、むしろここは逆。



 どこか未来のような無機質な空間だった。



 周囲にはたくさんの神が心配そうにこちらに注目している。



 あれからパーティーと僕は合流し、このほこらの中央空間に向かい合っていた。



 困惑する僕以外のメンバー。



 そこへ



「で?一体どういうことなんですか!?」



 まずは北条が疑問を提示する。


 それもそのはずだろう。

 

 彼らが使者からの案内によって連れてこられたのはこの中心都市トップギアのほこら。



 そして、最高神モモカが初対面であるはずの僕に近づいて隣同士の席にいる。                                                    


 いや、、というよりも。



「はいお兄ちゃん」


「あ、ああ・・」


 一同がら注目されながらも、さらに取った妹の手料理を口に含んでいく。


 それは、まごうことなき肉じゃが。




 その風味、だしの効いた深みのある味わいと、とろけるジャガイモ、牛肉、玉ねぎが口の中にとんでもなく素晴らしい調和をもたらしている。



 それだけでも筆舌に尽くしがたい一品なのだが、どこか懐かしい味わい。そうこれは幼少期に食べたことがあるような・・。



 だが、そんなことなどどうでもいいという風に、仲間たちは騒いだ。




「って、なんでほこらの中でもてなしてもらってるの?!!」


「そ、そうですよ!神相手に、、ぶ、無礼なんじゃなんいですか?!」


「しかも、両名、何か距離が近い気がするのだが・・!説明を要求するぞ!」



 そう特に、マージョリー、アンジェリカ、北条は、やけに必死になってこの状況を説明を要求してきた


 

 他の三人は最高神という肩書に少し腰が引けているというのに。



 それに対し、僕が答えようとする、その前に、



 妹は胸を張ってこたえる。



「それは、私が斎藤優斗の妹だからですわ」


「!?」



 再度驚愕をあらわにする一同。



「え?で、でもあなたは・・神なんじゃ」



「ええ、そうです。しかも最高神です」



「「え・・・?!」」



「一番偉い神様なんです」



 一同はそろってそろって絶句する。



 

「最高神の妹・・ということは、優斗どのは神様の兄、、つまり神ということなのか・・?」


 アンジェリカの解釈に、妹は首を振る。


「いえ、それは違いますわ」


「む?どういうことだ?」



 かいつまんで百花は説明する。



「そもそもここでいう神というものについて説明しますわ」


「この世界での神というのは、種族ではなく、職業ジョブ。その仕事は、この世界を管理する者」


「例えばモンスターをどこでポップさせるかだとか、惑星起動を調整したり、災害を抑制したり、あるいは魔王を倒すために勇者を転生させたり・・」


「そういう偉い仕事をしているのですわ」


「つまり言ってしまえば誰でもなれるんですの。魔法適正が高い実力さえあれば」


「そうこの世界は私たち神々の特殊な魔法によってなりたっているのよ。なぜかというとこの世界の成り立ちから話さないといけないんだけども・・」



 長くなりそうなのでここらへんで僕はそれを止めた。


「百花、ストップ。そのくらいでいい」


「まあ!少し熱くなりすぎたわね!」




「なるほど・・つまり、優斗の妹は、死んだ後にこの世界の神として選ばれた、と?」


 マージョリーの言葉に百花はうなづく。


「そういうことなのですわ」


 にわかには信じられないが、周囲を見渡して神々の顔をうかがってみると、彼女が嘘をついているようではないようだ。



 僕は素直に感心し、無意識に彼女の頭をなでていた。


「すごいじゃないか。百花。最高神っていうのはそんなに簡単になることができるものなのかい?」


「あ、お兄ちゃん、、!えっと、なんか最高神というのは、身に着けるべきスキルの容量が大きいから、なることのできる魂は限られてくるとかなんとか、先代の最高神から聞いたのだけれども、でもこんなの大したものではありませんでしたわ。ちょっとコツが必要でしたけれども、慣れれば平気でした」


「そうか・・」


 それを聞いて、ボクは彼女の言うことを真に受けなかった。


 昔から彼女は天才といわれていて、何十年も結論が出なかった数学の問題に答えを出したり、また小学生から大人相手に道場で無双できる実力を持っていたのだ。


 彼女の言う少しコツが必要、というのは、普通の人にとっては荷が重いということなのである。


「で、でも・・」


 しかし彼女は顔を赤らめて


「もしよろしければ、もっとほめてもいいのですよ・・?」


「・・・・えらいえらい」


「は、はうう・・」


 彼女は顔を赤くした。




 正直、自分もどういう気持ちか分からない。複雑な感覚だ。



 久しぶりの再会で緊張しているのだろう。



 現に僕も本当にこれが現実なのか、何度も我に返ったほどだった。


 まさか・・、百花に再開するなんて・・。


 少し雰囲気が変わったところもあるが、しかし彼女は確かに妹だった。


 そして、ボクと百花は、お互いのことを話し合った。


 僕はこの異世界に来てからのこと、、


 百花は最高神として選ばれてからのことを・・。


 彼女は色々と有能な働きを見せたらしいが、いかんせん僕のことをひいきしているおかげで、世界のエネルギーの均衡が崩れているらしい。


 それに対しボクは「だめじゃないか」と注意すると、「で、でもぉ・・」と涙目になる。


 だが、逆に僕たちの冒険のことを、仲間と一緒に思い出しながら語ると、百花は「なんでそんな危ないことをしたのですか!!」と怒った。


 なるほど・・お互い様のようだ。しかし僕は兄なので、「ごめんなさい」と誤っておいた。


 「次からは危険なことしないでね!!」というが、しかし、これから魔王との戦いを控えているのだ。約束はできなかった。




 そして・・・一通り互いのことを話し合ったころである。



 彼女はほおを膨らませた。^


「でも、それはそうとおにいちゃん!それはそうと、なんで戦っているの?!」


「え・・」


「この前、魔王とは戦わないでって言ったのに!!!」


「!!」


 そうだ。彼女が僕のためを思って、魔王討伐を禁じたのだろう。


 それをボクは無視してしまった。


「待ってくれ。僕はあの時は百花が言ったってわからなかったし・・

 それにこの世界の危機を見過ごせるわけない・・」


「大丈夫だもん!!」


「・・・む」


 確かに、彼女ならばなんとかできそうな気もしないでもない。


 だが、周囲を見渡すと、神々はこちらを見て必死に首を振っていた。


 改めて彼女を見ると、顔を赤くして意地になっているようにも見える。


(これは・・そういうことか)


 彼女は負けず嫌いな性格だった。


 二人で真剣勝負して、負けたらすぐに泣きべそをかいていたのを思い出す。


 神というものがどういうものなのか、通常通りの業務ならいざしらず、魔王というイレギュラーのせいで大変なのだろう。



 これは、頑張らないといけないと思った。


 彼女が最高神としての仕事を全うしているのだ。手助けになるならばそうしたい。


 僕は仲間を見渡していった。


「とりあえず、この国へ接近しているという、魔王のしもべから倒そうよ!!みんな!」


「「「おう!」「ええ!!」


「もう!危険なことはしないでって言ったのに!!」



 最高神の百花はそんなことを言っているが、しかし、彼らに強制力はないらしく、誰も僕を止めることはできなかった。




 さっそくこの国のギルドへと赴き、他冒険者と合流、魔王のしもべを倒しに僕らは出発する。



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