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奇妙な盗賊たち

長らく更新停止して申し訳ありません!


書きだめてるのでここから最終回までノンストップ!一日一投稿で行きたいと思います!


初日は慣例にならい連続投稿します!


 僕らは依然、トップギアに向けて車を走らせていた。


 その甲斐あって、あと数時間後に到着する。


 だが、事件はそこで起きた。



「!」


 もはや慣れっこになったこのオーラ。


「また盗賊か」



 この道中、幾度となく現れて通行を防止した盗賊たちの群れ。


 いつもならば、僕が『処理』して先に進んでいたのだが。



「いや、何かおかしい」


 いま目の目にいた盗賊たちは、いつもと何かが違うということを第六感で感じ取っていた。


 今まで出会った盗賊の中で、確かに実力が高い者も何度か現れたのだが・・この盗賊はその中でも別格。



「・・・・」


 黒っぽいフードをかぶって、敵意、そして邪気を放ちながらこちらを見ている。


 強者特有の静かな落ち着き。


 だが、そんな中で僕は少し違和感を感じていた。



 今まで出会ってきた盗賊たちは、魔王の気を受けて若干興奮状態に陥っていた。


 それなのに目の前の盗賊たちは皆、冷静な冷たい殺気を放っているのである。



 そして、なにより


(・・単に強者というには少し変な感じがする)


 微妙な違和感。


 その風貌に、どこか作り物めいたものを感じていたのである。



 しかし、ともかく僕はブレーキを踏んだ。



 振り向かずに言う。


「みんな、準備は良い?」


「ああ、大丈夫だ」


「全員で一気につぶすよ」


「はいっ!」



 今の相手はかなりの強敵だ。出し惜しみをしている暇はないだろう。


 そして、陣形を展開しようとした・・その時だった。




「おい!優斗!!」


「「!?」」


(盗賊であるにも関わらず、彼らは今ボクの名前を呼んだ・・・?)


 


「知り合い?」


「・・いや、こんな声は聞き覚えがない」


 だが、相手は僕のことを知っているようだった。


「戦うのは優斗一人だけにしてもらおう!代わりに我々も一人ずつ戦う!!」


「…何?!」



 これは・・どういうことだろうか。


 今まで出会った盗賊たちはこんなに理性的な言葉を言ったことがなかった。


 即エンカウントで襲い掛かってくるだけ。まさにモンスターと同じ性質だったのが、



 彼らは条件を付けて一対一で戦おうと提案してきたのだ。



 突然の事態。



 仲間内で相談する。


「どうする・・・?」


「罠かもしれないな・・」


「っていうか、別に盗賊の言うことなんて聞く必要なくない?」


「ふむ。、確かにそうだが、彼らはどこか紳士的な感じがするな」



 議論が混迷しそうになってきたところで、僕は決断する。



「彼らの誘いに乗ろう」


「大丈夫なの?」


「確かに彼らが突然全員で襲い掛かってくることはありえるかもしれない。

 だがそうだとしても、こっちも警戒していればいい。そうだろ?」


「まあ、あなたが言うなら反対しませんが・・」



 話は決まった。僕は車から降りる。



「じゃあ、始めようか」


 いつものようにナイフを構える。だが、それをいったん手で制して、


「・・その前に、一つ約束してもらおう」


「なんだ?」

 

「お前がこの戦いに負けたら、トップギアに行かぬことを誓え」


「・・・?」


 その奇妙な提案に、僕は疑問符を提示せずを得ない。


 僕らがトップギアに行くことで何の不利益があるというのだろうか?


「・・理由は?」



「それは・・いう必要はない!!」


「!!」


 そう叫ぶjとともに、相手は突進した。



 手にした剣で確実にこちらの急所を狙ってくる。


「ウオオオオオオッ!!」


 達人レベルの動き。もはや縮地など使わずに瞬間移動レベルの動きをしてきた。



 だが、遅い。



 今の僕にはそんな動きが、まるでスローモーションのように感じられる。


 魔王と比べれば、まるであくびが出るレベル。



 ついこの前ならば、この一瞬で勝敗が決まっていたであろう相手。


 だが、様々な死線を超える戦い。絶望、そして欠かさぬ鍛錬がかなりの精神的余裕を生み出していた。



 最低限の動きで避け、死角に回り込む。


「ッ!!!!???」


 僕は冷静に、かつ鋭くその突きをかわし、柄で首を突いた。



「っ・・・!!!」


 どさっ、、と。



 相手はぴくぴくとけいれんしながら地面に伏せる。


 死ぬことはない。が、


 ポーションで回復しない限り動けない。


 その程度の、加減をして急所を突いた。


 

「さあ、次は誰だ?」



「・・・っ」



 一瞬、彼らは動揺。



 そして、ざわざわと一言二言相手内でしゃべっていた。



「じゃあ次は俺だ!!」


「おいよせ。お前では無理だ。俺が行く」


「ダイジョウブか?もし勝てないならアレを使っても・・」



 そんな彼らに対し、僕は


「いいだろう」


「!?」


「全員相手してもいい」


「・・なっ」


「そのほうがいい鍛錬になる」


「・・!!」


 彼らは舐められたと思ったのだろう。



「このっ・・!!」



 さらに憎悪を放ちながら剣を次々に抜いていった。


「お前が言ったことだ。卑怯とはいうまいな」



 一人だけならともかく、複数相手。



 少し苦戦をするだろう。


 だが、、勝てなくはない。



「優斗!無茶はやめて!」


「援護が必要ですか?!」

 

 後方で仲間の声がかかるも、手で大丈夫だと示す。


 『全力』を出し切れば勝てる。




 僕が今必要なのは、強さ。無慈悲で冷たい機械のような強さ。


 だからこそ、この強敵はいい経験になる。



 そして・・数分後。


「はぁ・・はぁ・・」



 多少『かすり傷』を負ったものの、何とか全員戦闘不能にすることができた。



「優斗!!」「優斗さん!!」「大丈夫ですか!!」



 仲間が、戦いが終わるとともに駆け寄ってくる。



 ・・・が。


「ふ、ふふふ・・・」


「!!」



 瞬時に緊張が走る。



 ありえないことが起こった。



 盗賊たちは『立ち上がった』のだ。


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