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撃破、背水


 

 直撃した。

 

 が、、

 

「?」


 その力は、まるで赤子のようだった。

 

 まるで撫でられたかのような衝撃。

 

 それでも、普通の人を即死させるほどには力があったのだろう。

 

「ゲッゲッ!!」と続けて地面にクレーターができるほど蹴られる。

 

 しかし、これでも僕は高レベルだ。その程度では急所に当たったところで、魔力が枯渇している今でさえ死ぬことはできない。

 

「どうやら・・間に合ったみたい・・だね」


 ゆっくりと、足を振り払って僕は立ち上がる。

 

「・・・!?」


 異形の顔のパーツだが、明らかに狼狽した顔をしていた。

 

 しかし、今彼女の見に起きていることをわざわざ説明する余裕はない。

 

 僕は縮地を使い、最低限の体力を犠牲にして、その背後に回った。

 

 そして、羽交い絞めにする。

 

 僕ができるのはこれが精いっぱいだ。しかし、、

 

「・・すまない、手伝ってくれないか」


「分かりました・・っ!」


 最初に北條君の義体が起き上がった。かなり破損が厳しく今にも損壊寸前とはいえ、ゆっくりと動くには問題ないようだった。

 

 そして、指に仕込まれたピアノ線を取り出し、、、

 

「グギャァアアア!!??」


 首を切る。


 頭がサッカーボールのように落ち、そして再び再生していく。

 

 だが、そこは不運にも車のすぐそばだった。

 

「頭が痛いけど・・!ようやく終わったよね・・!!」


 一度気絶したとはいえ、あれだけ車を激しく揺らせば意識は戻るだろう。

 

 マージョリーさんが、指先に炎をともし、そして今だ再生途中の頭に着火した。

 

「~~~!!!!」


 声にならない悲鳴。

 

 いや、彼女だけでない。今まで戦力にならなかったメンバーたちが次々と車から降りてくる。

 

「皆・・!!そいつを早く・・!!」「いわずとも状況は割かし理解できました」


 炎の弾の状態で逃げ出そうと転がるのを、東堂が足で止めた。

 

「やれやれ・・魔王討伐の前だというのに・・、全て貴方が何とかしてくれたんですね・・」


 潰す。

 

「もう・・ダメ・・」


 殴る。

 

「でも、、これを倒せば治るんだよね?」


 燃やす。

 

「ポチは・・こんな風になってしまって、恥ずかしいですっ!!」


 悔し涙に殴る。

 

 そうやって、満身創痍ながらも皆、攻撃を加えていった。、

 

 目の前の怪物は少しずつ小さくなっていった。魔力がドレインされている状態ならば、このくらいが精いっぱいだろう。

 

 そう、そして、少しずつ魔力が戻ってきたところで、何故目の前の怪物が急に弱くなったのを説明しよう。

 

 それはステータス操作スキルのおかげだ。

 

 結局のところ、前に僕の友人に行った技術と同じ・・。ドレインと同時に、相手にステータス低下のスキルを送り込ませたのだ。

 

 この相手は、彼と違い、スキルではなく魔力を対象に奪ってくる。

 

 だが、それは逆に言えば、相手から送られてくる『異物マイナス』に無防備ということでもある。

 

 そして、即効果が繁栄されなかったのは、そのドレインという少しずつ奪うという特性ゆえだろう。

 

 時間にしてせいぜい数分とはいえ、その脅威度からかなりの死活問題だった。だが、、ギリギリのところで何とか撃退することができだのだ。

 

 もはや、怪物は指先大となっていき・・そして消滅した。

 

「ふぅ・・」


「ようやく・・やったか・・!!」


 もはや体力の限界だったが・・その原因が消滅したことにより、一同はひと時の安堵を得た。

 

 北條から手渡されたポーションを飲んで体力を回復する。今はもう回復したMPがドレインされることはない。

 

「しみわたるわねぇ~!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方そのころ、ドラゴンの山の中腹。

 

(・・・やられたようだね)


「ガォオオオオオオオオオ!!」


 未だ、殺戮の怪物となって魔王は狩りをしている。

 

 その人格の一部は、優斗の友人のものを『使用』していた。

 

 いわばアプリケーションとしてアクティブ状態となっている。まおぅがいつでも消去すると決めたらいつでも消え去る陽炎のごとき存在。

 

 だが、その破壊力はすさまじく、魔王が持つエネルギー以上の働きを見せていた。

 

 それでも、今の彼らを止めることはできないだろうと予測。彼らに対抗するためには、もっと桁が違うエネルギー量を得なければならない。

 

 当初の予定では、もう少し中腹で狩りを続けている予定だった。

 

 だが、、そのままだと逆に勇者に自身が駆られてしまうだろう。

 

(・・ということは・・はぁ)


 魔王は珍しく、ため息に似た感情をむき出しにしていた。

 

 本当はこの手は使いたくなかったのだ。唯一短時間で、莫大なエネルギーを回収する手段があるのである。

 

 それは、、このドラゴンの山の頂上に住む、最強の上級ドラゴンに挑むこと。

 

 山の主とも言っていいそれは、莫大なエネルギーを周囲に放っている。太陽の近くに近づけば燃えて死ぬのと同じように、蟲毒で鍛えられたモンスターの誰も誰もそれに挑むことはしない。

 

 そう、魔王はそれに挑もうというのだった。

 

 友人の人格に指令を出す。できるだけ気配を消して頂上へと登れ。

 

(一見無防備に見えるが、、何十もの複雑な魔法防壁が周囲に仕掛けられている。

 一応それは、突破できるんだよなぁ・・)

 

 そう、問題はその後だ。

 

 上級ドラゴンの意向など、誰も分からない。今奴は起きているのか、こちらに気が付いているのか、、それすらも分からないのだ。

 

 もしかしたら、この一瞬後、敵意を検知して即死するということもありうる。そういった妄想を抱いてしまうくらい、絶対的なオーラだった。

 

 だが、、どっちにせよ、このままだと優斗たちに殺されてしまうのだ。

 

 ゆえに、準備を整えたのち、戦いを挑みに進んでいく。

 

 それは白銀の龍だった。

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